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夜に駆ける

YOASOBI 「夜に駆ける」

【毎日noteに再チャレンジ!思い出に残る・印象に残る曲について、1日1曲ピックアップします。62】

話題に上がっている曲だということは知っていました。
なんとなくいい曲だなぁ、くらいにしか思っていなかったのですが、そんなことをしている場合ではありませんでした。

この曲の真意に触れたとき、見てはいけないものを見てしまったような感覚を覚えました。衝撃が強くて、刺さった後でさえもずっとじわじわ痛みが響いてくるような曲です。

皆さんの多くはすでにご存じかもしれませんが、YOASOBIは小説を基にして歌を作っているユニットです。この曲の基になったのは、星野舞夜さんの「タナトスの誘惑」というお話。下記のリンクから無料で読めます。

触れる心ない言葉うるさい声に 
涙が零れそうでも 
ありきたりな喜び きっと 
二人なら見つけられる

「ありきたり」なカップルならば、共に生きていく喜びを感じて、共に明るい未来を夢見て、他愛もない楽しい時間を過ごすことを願うのでしょう。

でも、この二人が出会った状況はそれとは真逆のものでした。絶望の淵にいた時の彼女に彼は惹かれてしまったのです。

そんな姿に惹かれたと、儚い空気に魅せられてしまったと言いつつも、「きっと自分たちも、ありきたりな幸せをつかむことができるんじゃないか」と淡い希望を捨てられずにいるのです。

君にしか見えない 
何かを見つめる君が嫌いだ 
見惚れているかのような恋するような 
そんな顔が嫌いだ

どうにかしてこちらの日が昇る明るい世界に引き留めたいと思って、愛を差し伸べてぬくもりを伝えようと抱きしめるのに、届かない。彼女の目はいつも違う世界を見ている。そんな顔しないでくれって思うのに、こんなに愛しているのに、なぜ。

彼の思いが痛くて、こちらも苦しくなります。

(ここの「嫌いだ」のikuraさんの歌い方、すごく好きです)

「終わりにしたい」だなんてさ 
釣られて言葉にした時 
君は初めて笑った

ぞわっとしました。彼と彼女の関係性がここではっきりと変わってしまうのです。

必死に引き止めようとしていた彼もまた、彼女が見惚れていた世界を見る人間になってしまうのです。

彼にとって、彼女はどんな存在だったのでしょう。なんのために彼の前に姿を表していたのでしょう。

彼をその世界に導くことが彼女の役割だったのでしょうか。

「やめて、そちらに行かないで、」

第三者の目線で曲を聴く立場の人間としては、こんな思いがあふれてしまいます。

この歌詞のあとのサビで、キーが一つ下がるのもポイントだと思います。悲しくも「堕ちて」いく二人の世界観が確立してしまったことを否応なしに感じさせている気がします。

二人今、夜に駆けだしていく

駆け出したその夜はもう、永遠に明けないのです。

美しく夜に駆けていった二人は、もう二度と戻らない。

これが二人にとっての幸せなのだとしたら、もう誰も止めることはできないのでしょう。

この結末が二人にとってのハッピーエンドなのかもしれません。でも、それを心から祝福できないのは、きっと私だけではないはずです。

私と同じように、なんとなく曲が素敵だなぁくらいにしか思っていない人がいたら、ぜひに小説を読んでMVをみて、歌詞を見てほしいと思います。Ayaseさんの曲が良い、ikuraさんの声が素晴らしい、だけではもったいなさすぎます。

胸をグサッと刺される覚悟があれば、ですけれど!(笑)

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今日は急に暑くなったせいか、午後からちょっとだけぐったりしてしまいました…。暑さに弱い方だとは思ってなかったので、ちょっぴりショック。

でも、少し休んで気合を入れてダンスレッスンに足を運んで思いっきり動いたら、頭がすっきりしていい気持ち。「エイやっ」って腰を上げて出かけた自分をほめてあげよう。