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Dragon's Back Race 2/3 ・・・食事・水の摂取 n=1

標題は英国ウェールズでの全長380 kmを6日で踏破するステージ・レース*です。概要は前回の記事をご覧ください。前回と同様、標題のレースの参加を検討しそうな方、ただ長距離レースに好奇心のある方を想定しています。今回は6日間の食事・水分補給についてどんなものだったか記したいと思います(筆者の専門性もあり…)。

トップ画像は3日目全長70 kmのラスト7 km地点の山近く(Llyn Llygad Rheidol Reservoir を越えたあたり)。ゴール時には陽が沈みヘッドトーチ使用。

* 各日にルート・進む距離が決まっているレース。


エネルギー消費量の推定

結果的に6日それぞれのルート情報(距離と獲得標高)、所要時間、推定消費エネルギー(kcal)は次のようになりました。
1日目 49 km, 3800 m → 13h14m, 5,000 kcal
2日目 59 km, 3400 m → 12h39m, 4,500 kcal
3日目 70 km, 3400 m → 13h48m, 4,600 kcal
4日目 69 km, 2300 m → 12h02m, 3,700 kcal
5日目 70 km, 3200 m → 14h17m, 4,600 kcal
6日目 63 km, 1300 m → 11h33m, 3,300 kcal

この推定値はGARMIN社のスマートウォッチから計算されたものです。https://www.garmin.co.jp/products/wearables/

一般的な消費エネルギー(”カロリー”)の計算方法に従っているものと思われます。たとえば次のサイトで計算できますが、そういったアルゴリズムがいわゆるGARMIN社のスマートウォッチ、その他には備わっています。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228741

最低でも4000 kcal前後と考えるべきだったようですが、事前のフルマラソン(42.2 km)などの長距離レースの経験から3,000 kcalは最低でも消費すると考えていました。そして栄養摂取については(一日の代謝量を2,000 kcalとして大体)5000 kcal以上を毎日摂取したいという考えでした。

食事する大きなテント内

各日の朝食(スタート前)と夕食(ゴール後)のビュッフェ

朝食は朝4時半~8時にふるまわれました。
(レーススタートは朝6時半ころ)
メニューは次のようなもの:
・ポリッジ、コーンフレーク、ミューズリー
・ソーセージ、レンジ豆のトマト煮(ベイクドビーンズ)、スクランブルエッグ
・パン数種、ワッフル、バナナ、りんご

夕食のメニューはだいたい次のようなものでした。
・温かいスープ(トマトスープ or コンソメスープ or きのこのスープ)
・パスタ or カレー or シチュー
(トマトソースのラザニアorペンネ、豆中心というような辛くないトマトベースのカレー)
・ナン or ガーリックトースト or 普通のコッペパンみたいなもの
・サラダ、コールスロー・ライスプディング、ティラミスのようなもの、ブラウニーなどのケーキ

著者は栄養計算も面倒なのでとりあえずできるだけ食べろというのを目標として、最低でも2人前くらいは摂取しました。そしてワッフルなどを食べる際は蜂蜜をこれでもかというように使いました。
朝食と夕食合わせて3,000 kcal以上は摂っていたかなと思います。それだけ食べられるよう胃腸を鍛えなさいとよく言われています。

ある日の朝食・・これの2倍ほど摂取

レース中の補給食

補給食は2つに別けることになります。
①1つは朝6時からのスタート時に所持するもの、
②もう1つは10時間以上かけて進むルートの2つの給水所の1つにてアクセスできる10L容量のバック(”ドロップバッグ”)に入れておくもの
です。私が今回のレースで毎日、足りるように用意したのは次の3種です。スポーツ用の食品ではなくセインズベリーというスーパーで購入したものです。多くのレースに出ている最中、特に高価なスポーツ用のスナックである必要は無いと考え出費を押さえたいと選ぶようになったものになります。

・個包装されたクレープ
https://www.sainsburys.co.uk/gol-ui/product/st-pierre-chocolate-filled-crepes-x6

・はちみつ
https://www.sainsburys.co.uk/gol-ui/product/rowse-natural-blossom-honey-squeezy-340g

・ストロープワッフル
https://www.sainsburys.co.uk/gol-ui/product/daelmans-mini-stroopwafel-200g

あとは適当にコンビニで購入してあったスナックなど、自宅で持て余していたスポーツ用のジェルなどでした。次の企業のものをよく使っています(安く購入できることが多い)。
https://highfive.co.uk/
https://www.mountainfuel.co.uk/
https://www.scienceinsport.com/

そして水分補給時には電解質を補給できるようにスポーツ用の粉を用意していました。
https://www.instagram.com/onepronutrition/

はちみつは水のボトルを電解質の粉と用意する際に一緒に入れました(糖質摂取の追加)。そしてはちみつの小さなボトルはドロップバッグに入れて途中でまたアクセスするというようにしていました。

基本的にレース時間中、常に胃に何か入っているように摂取します。空っぽのまま疲労を蓄積させると受け付けなくなるからですね。その最悪の事態は避けることができ、所持していたものはOKだったように思いますが、やはり疲労が積もってか重めの食品には手が伸びず。そのためストロープワッフルにはあまり食欲が湧かず。別のレースではOKだったのですが。まだまだ経験不足だったように思います。

給水所ではキャンプ用の食事など摂っているランナーなどもいました。水はもらえるのでドライフードで軽量化(預けられるバッグの上限は2.5 kgまで)するなど確かに良かったかもしれません。

・・というような戦略を考えて自身の経験や嗜好によって補給食を調整してレースに臨みます。暑く長いレースの最中、食欲を保ち続けることが重要になります。参考になれば幸いです。プロはコンビニで手に入るような食品ではなくて、スポーツ用の食品の会社からスポンサーを受けて最善の準備・戦略をとることになります。

レース前夜に適当に購入した品々(荷に余裕があったから)

気温は25℃以上・水分の摂取

給水所は各日のルートに2箇所設けられています。1箇所は自分で預けたドロップバッグにアクセスでき、もう1箇所は水が提供されるのみです。どちらが先かは日によって違います。たとえば2日目は2箇所目の給水所でドロップバッグが用意されますが、5日目は1箇所目となります。

提供されるのは水のみですが、10時間以上の過程での給水所での機会はとても貴重となります。(ですので10時間以上、前進し続ける最中、どのように力尽きずにゴールするのか、スタート時に持つ物とドロップバッグから得るものとを調整します。)

必携品として定められているのは1.5L以上の水分が所持できるよう装備です。つまりそれほどの水分の所持で3~5時間ほどを進むことが想定されているということになります。それだけでも水分補給は重要なのですが、2023年は6日間すべて25℃以上の(英国にとっては)暑い日が続いていましたので水分補給の重要性が増していました。

そこで私にとって貴重となったのが次の品です。
LifeStraw 1L
https://www.amazon.co.uk/dp/B09SBN5QMM 

ウェールズの山々には小川が流れているところが多く、その水を汲んで飲むこともいざという事態の対策として提言されています。「この辺りの山岳レースでは当然だよ」という様子。しかし安全性に不安が伴います。そのまま飲んでいるランナーも多かったですが私はフィルターを通して水を補給しました(高地の明らかにきれいそうな所ではフィルターを通さずでしたが・・)。水は重いのでなるべく運ぶことを避け、そういった形で水を得るのも戦略の1つとなります。

当然、自然の水がどこで手に入るのか判った方がプランが立て易いので、事前に調べておく、試走しておくことにそんな価値もあるということでしょう。私は1日目、2日目のルートは2022年の経験で知っていましたが、それ以降はぶっつけ本番でした。ちなみに2022年では2日目後半で携帯電話を落とし故障→場所を知る術+必携品を失いリタイア。

上述のように今回のレースは非常に暑く、脱水やそれに伴う疲労で苦労をしているランナーが多かったように思います。私も顔を真っ赤にして悲壮感に沈んでいたランナーに水を分ける機会を一度、とりました。事前のトレーニングにて暑さに慣れる(暑熱順化)ことが必要というところでしょう。仮に日本からの参加者がいるのであれば日本でトレーニングすれば問題ないと思いますが・・。

2日目終盤、山々を越える手前のLlyn Duという小さな湖・・著者のウエストのベルト(Comopressport)には水を入れたボトル

ルートで購買

長いルートの中、村や街を通り過ぎることもあり、お店が開いていれば食べ物など購入することが許されています。5日目のパン屋(70 kmのうちの15 km地点)はこのレースでは有名だそうです。
La Patisserie
2 High St, Llandovery SA20 0PT

その他、3日目の2つ目の給水所の前の
NISA LOCALというコンビニ、
https://goo.gl/maps/nZsw7omUndVLBSsk7
5日目のデリ、
https://goo.gl/maps/CMtRfVBVWcvqanKZ9
6日目の序盤(23.5 km)のコンビニ、および最初の給水所(36 km付近)の街のいくつかのコンビニが人気だっただろうと思います。
https://goo.gl/maps/VMEp19WJ5o6UqnA29
https://goo.gl/maps/fPNugCPmVULW8U6v9

3日目のコンビニはドロップバッグが許される給水所の前なので、大量にスナックを買い込んでそのドロップバッグに収め、4日目以降のスナックにすることが可能だと思います。ですのでスタート時には1~3日目の品物に比重を置けばよかったかも。ドロップバッグの2.5 kgというのは人によってはタイトなのでそういった戦略を考えるのもよいかも。

次はレース詳細と意義?について触れたいと思います(いつかは未定)。

レース後、ウェールズ首都のカーディフで食べたエッグベネディクト、完走賞としてもらったもの

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