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読書感想文【風林火山】

武田信玄といえば風林火山であり、風林火山といえば武田信玄である。
武田信玄の強さは戦の上手さにあるという。
その戦の上手さは、軍師山本勘助によるところが大きい。
本書は軍師山本勘助を主人公とした歴史小説。
ちなみに今でもなお実在したのかどうかあやふやなところがあるとか。
風林火山というタイトルなのでてっきり武田信玄が主人公かと思ったら違った!!

恵まれない容姿でありながら、その頭脳でメキメキと頭角を表していく。
そして、信玄とその側室の諏訪御料人を深く愛するようになる。
全ては2人とその子供のためー。
そんななか、息子勝頼が元服する前に、諏訪御料人は鬼籍に入ってしまう。
諏訪領を制圧した際、諏訪頼重の娘ーあとの諏訪御料人ー救い出したときからともに過ごしてきた勘助にとって、それは自我の一部が失われたかのごとく深い悲しみが彼を襲った。
そんななか、彼は武田家のために川中島の戦いに身を投じるー。

彼女を救い、信玄との仲をもち、衝撃の告白を聞かされ、彼女のわがままに振り回され、女というものを思い知らされ、そして去っていった由布姫。
ここで死ぬのは嫌だ。
どんなふうになっても生きていきたい。
生きてこの世界を見ていきたい。
そういった彼女は、老いた彼よりもずっと若いにもかかわらず先に逝ってしまった。
諏訪御料人(作中では由布姫)を失った悲しみというのは、まさに動物ー獣にも近い彼の姿が痛々しかった。

彼の最期もまた、一抹の寂しさを覚えるものでしたー。

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