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The Beatles 全曲解説 Vol.28 〜Roll Over Beethoven

ライブで真価を発揮!ジョージの十八番 “Roll Over Beethoven”

『With The Beatles』8曲目(B面1曲目)。
ジョージがリードボーカルを務めるカバー曲です。

意外にも、前作『Please Please Me』や、本作のA面では、どちらかというとポップなR&Bのカバーが多かったビートルズ。

レコード上ではそういった楽曲をよく取り上げていたものの、ライブやラジオ出演の音源を聴くとそれ以上に、エルヴィス・プレスリーを初め、バディ・ホリー、カール・パーキンスといったロックの始祖たちのナンバーを頻繁に取り上げていることが分かります。

そもそもジョンがロックをやりたくて始めたバンド。当たり前と言えば当たり前なのですが、アルバム制作の現場では、ジョージ・マーティンやポールの意向なども働き、より音楽的に多様さを持たせようという空気があったのかもしれません。

ですがここで満を持して、彼らが少年期から憧れ続けたゴリゴリのロックンロールのカバーがレコードで登場します!

原曲は、洋楽ファンならおなじみチャック・ベリーの1956年の楽曲。
ビートルズもデビュー前からレパートリーにしており、現在ではロックンロールのスタンダードとして知られています。

良い意味軽いノリの良さと、ソウルフルなボーカルが印象的ですね。

ビートルズのカバーバージョンでは、演奏が激しさを増し、リズムにも緩急が出て、よりロックンロールの表情が強まっています。

なんといってもリードボーカルを務めているのがジョージである点はニクいです!
デビュー前のしばらくの間はジョンの担当だったそうですが、ジョージに譲る形となっています。

いつも感情を抑え、クールに決めているジョージがここではリミッターを外しているのがよく分かります。
畳みかけるように言葉を連射するような歌い方は、ジョージの全キャリアを通じてもこの曲でしか聴けません。

更に言うと、この曲はビートルズナンバーの中でも、特にライブでその真価を発揮しています。
公式から何トラックもライブバージョンが発表されていますが、最もオススメしたいのは『Live At The Hollywood Bowl』収録のバージョン。

ライブバージョン共通で言えるのは、スタジオバージョンよりテンポが上がり、より肩に力の入った演奏がされていること。激しさが格段にパワーアップしていますね。

このバージョンでの聴きどころは、曲もエンディングに近い「♪You know she winks like a glow worm, dance like a spinning top」で始まるパート。
抑えた演奏と激しい演奏が目紛しく入れ替わる見事な演奏で、聴き手を完全にノックアウトしにかかっています!

当時の人気ぶりから、ライブではお互いの演奏すら歓声にかき消され、互いの動きを見てリズムを合わせるしかなかったというのは有名な話。
そんな状況でこのような神がかったロックを魅せたのは、デビュー前からのハードな演奏活動の賜物でしょう。

#音楽 #音楽コラム #エッセイ #ビートルズ #全曲解説 #スキしてみて

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