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The Beatles 全曲解説 Vol.29 〜Hold Me Tight

軽快な仕上がりにもポールは消化不良? “Hold Me Tight”

『With The Beatles』9曲目(B面2曲目)。
ポール単独による作品で、リードボーカルもポールが務めます。

実はこの曲、ポールがデビュー前より温めていた曲で、前作『Please Please Me』のセッションでも演奏されていたそうです。
ところが、曲順を決める段階でボツに。
今作のセッションで、リメイクを試みます。

完成版を聴いてみると、4拍子のシンプルなロックナンバーで、とても軽快な仕上がりです。
前曲 “Roll Over Beethoven” と同様ハンドクラップが入っていますが、こちらの方が軽快さをより引き立たせているように聴こえます。

さらに、サビの「♪Hold (hold), me tight (me tight), tonight (tonight), tonight (tonight)」と続く掛け合いにおけるコード進行も非常に聴き心地がよく、明るい気持ちで楽しめる構成です。
僕もアルバムの中ではお気に入りに挙げたい一曲です。

ところが、作曲したポール本人はあまりこの曲が気に入らなかったようで、レコードで発表されたバージョンにも、消化不良の思いがあったようです。

それは楽曲にも現れているのですが、ポールのボーカルがあまりノリ切れていない、自信が無さげに聴こえます。
サビのコーラスもなんだか気が抜けたよう。
曲を通じてボーカルのパワーが、他の曲より若干弱っている印象は否めません。

やはりビートルズなので、かなりレベルの高い話で言うと、ということですけどね(汗)。

ブートレグや非公式動画で聴けるアウトテイクも、やはりボーカルのリズム感が良くない印象を受けます。
それでも、例えば現代の四つ打ちのEDMが好きな人でもノレそうなリズミカルな軽快さ。これは、この曲の大きな強みの一つではないかと思います。

#音楽 #音楽コラム #エッセイ #ビートルズ #全曲解説 #スキしてみて

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