引っ越し前後のこと
9ヶ月経っている
山添ライフをブログに書こうと思っていた。奈良と山添、隣り合う町での二拠点生活。初めての田舎暮らし。未知の生活に飛び込むわけだ、その心境をちゃんと綴っておきたかった。
しかし、現実はどうだろう。
今回の記事を書くにあたり、前回の記事を読み返してみた。驚いた。前の段階ではまだ引っ越しもしていないではないか。しかも書いたのは11月。"リアル山添ライフルポ"でもなんでもない。昔からの大雑把な性格は今も健在である。そんな自分の性格のせいで、"リアル山添ライフルポ"は気づけば記憶力との闘いになっていた。一部はもはやフィクションになっている可能性すらある。
とはいえ、やはり順を追って書いていこうと思う。そう、まずは何よりもまず「引っ越し」をしなければ始まらない。
草と私と
山添に引っ越す前から言われていたこと、それは草刈りが大変ということ。
引っ越し前、購入した家にちょくちょく足を運んでいた。そこで驚いたのが雑草の伸びるスピードである。行くたびにみるみる伸びていく。このままでは引っ越し前に家が雑草で覆いつくされてしまう。植物の生命力ってすごい。
前回も登場した、地域振興課の課長に相談してみた。
「それなら草刈りに行ったるわ」
さすが、出会った初日に私をスカウトした男は違う。話が早い。課長が草刈りに来てくれることとなった。
当日、朝から車を飛ばして山添の家へ。時間になっても課長の姿が見えない。忙しいのかな。買ったばかりの草刈り機の準備をしていると、敷地の奥からフル装備の課長が顔を出す。
「遅かったやないの。草刈りに何時間かかると思ってるん?笑」
そういう課長は、私が来る前に、家の裏側の雑草を刈り終わっていた。そして私の草刈り機を見て言う。
「なんや、バッテリー式か」
町育ちの私は知らない、草刈り機にも種類があるのだ。私はバッテリー式、課長はエンジン式。私は友人に勧められ、安全第一、バッテリー式にした。ただしパワーは圧倒的にエンジン式が勝る。課長はマイ草刈り機のスターターを勢いよく引き、けたたましい音と共に作業に戻っていった。
お昼になるも、まだまだ作業は終わらない。休憩も兼ねて村の食堂へ。
ここは役場やインターからも近く、いつも賑わっている。扉を開けると懐かしい昭和の食堂。戸棚からおかずののったお皿を選んで、ご飯と味噌汁を付ける。親戚の家にお昼食べに来たようだ。
作業着&長靴のまま、お昼を食べる。
そういえば東京時代は、たまのお出かけにはヒールを履いて出かけていた。それが今やノーメイクに長靴。昔は複数あったヒールも、(ごくごくまれに呼ばれる)披露宴用に1足残っているのみだ。まさか自分がヒールではなく草刈り機を買う日が来るとは。
午後。課長が言う。
「このままじゃ終わらへんから、助っ人呼んどいたわ」
来てくれたのは同じ地域振興課の課長補佐。2人とも休日にも関わらず、まだ出会って間もない(しかも引っ越しすらしてない)私のために草刈りを…泣。山添村民、どんだけいい人なんだ!3人で残りの作業を進める。
すべての作業が終わったのは夕方。まるまる一日仕事である。「草刈りなんて半日もあればできるでしょ」と思っていたのが甘かった。これだから町育ちは困る。そしてこれだけかけた作業も、放っておけば2週間後にはまた元の姿に戻るのである。
自然の中で生きている、ついでに言えば自然になんてかないっこない、ということを身をもって感じる。
持つべきものは友
草刈りは終えた(ただし気を抜くとすぐ生えてくる)。いよいよ引っ越しである。
何度目の引っ越しだろう。実家を出てからだから…、6回目?!思ったより多い。
本当は春に引っ越しをしようと思っていたのだが、ずれにずれて6月末。梅雨時ではあったが見事に晴れた。
過去の引っ越しはすべて業者頼み。今回は奈良の友人たちが手伝ってくれた。持つべきものは友である。ありがたいことに、周囲に「山添に家買った」と話したら、何人もの友人に「引っ越し手伝うよ!」と言ってもらった。社交辞令かもしれない。それでも図々しくお願いした。だって、みんなでやったらイベントみたいで楽しそうではないか。
手伝ってくれたのは、仏師、そしてお坊さん等々、奈良ならではの顔ぶれ。みんな忙しい中、時間を割いて来てくれた。思い返せば9年前、奈良に引っ越してきたときは奈良に一人も知り合いがいなかった。それが今や一声かけたら集まってくれる友人たちがいる。不思議なものである。そして何よりありがたい。
おかげさまで引っ越しは無事に終了。草刈りには1日を要したのに、引っ越しは半日で終わった。なんともあっけない。
がらんとした空き家に家具が並ぶ。まだ生活感はない。「ここで暮らすのか?私が?」実感もない。
家購入の決断から半年以上。ようやくスタートラインに立った。
打ち上げは自宅で
山添の家、広い。一人で暮らす広さではない。引っ越す前から思っていたことがある。
「この家に引っ越したら、友人たちに遊びに来てもらおう!(一人じゃ寂しい!)」
引っ越しを手伝ってくれた友人たちをねぎらうため、後日、自宅でBBQパーティーを開いた。自宅、そう、ようやくこれで山添の家が"自宅"となった。自宅に客を招く、なんだか随分久しぶりのことである。
上の写真を見てほしい。どう?いいでしょう?
友人が集い、自然豊かな中で、料理したりお酒飲んだり。(帰りは責任もって私が奈良まで送り届けました。)そうそう、これこれ。これがしたかったんだよ。
広すぎる古民家を一人で購入。持て余すのはわかっていた。それでもたまにこうして友人たちが来てくれて、楽しんで帰ってくれればそれでいい。そんな田舎の一人暮らしもあるのだ。
ようやく始まった山添村ライフ。相変わらず奈良と山添を行き来する日々。
もうすでに引っ越しから9ヶ月も経ってしまっているが、まだ記事は3本目。この間に起こった出来事も様々。思い起こしながら、綴っていこうと思う。
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