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ワインの「オリ」について、正しい知識を得る


たまにワインの飲み終わりごろに出現する、黒いザラザラしたカスのようなもの。これは「澱(オリ)」というものです。


たとえば、すぐさま一緒に飲んでいる誰かからこのオリの正体についてパッと教わることができればよいのですが、もしまったく何も知る由もないまま遭遇してしまったとしたら、ちょっと恐怖かもしれません。


「毒!?」「欠陥品のワインを購入してしまった!」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。


ですが、ご安心ください。知ってみれば、全く悪いものではありません


今回はこのオリの正体を明らかにするお話です。


1. そもそもアレは一体何なのか?

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まず「オリ」の原料は、ワインを構成する要素の「渋さ」「色素」の成分です。


この二つがゆっくりと長い時間をかけて結合していって、じゅうぶんな大きさにまで重くなったときに、瓶の底へおちて溜まっていきます。


ちょっとひと舐めしてビリっと強い渋さを感じるのは、オリがこの「渋さの結晶」だからなんです。


2. 体に毒なものなのか?

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舌触りこそ悪いですが、はっきりいってこれはまったく毒ではありません。ただ、ワインを味わうという観点からすれば、邪魔に感じるものかもしれません。


実際にオリ自体の味も苦かったり渋かったり酸っぱかったりと、とても美味しいとは言えないものですね。


決して飲み干したいものではありません。でも、毒ではないです


3. 「デキャンタージュ」について

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「デキャンタージュしてください」や、「デキャンタージュなさいますか?」


という、レストランでたまに登場するこの「デキャンタージュ」という工程。


ワインの香りや味わいをさらに広げるという目的もあるのですが、もっとも主要な目的は、本来このオリを取り除くためにします


「デキャンタージュ」はワインを別の容器に移しかえる時に、瓶の肩の部分にこのオリをひっかけながらゆっくりと液体のみを分けて注ぎます。


液体の部分を限りなく注ぎ切った後のボトルの底面には、3センチほどのオリでにごり切ったワインが残ります。


もったいないかもしれませんが、基本的に残ったこれをあまり飲むことはありません。とても強烈な味がしますw


レストランなどでワインをオーダーするときのサイズを指す言葉の一つ、「デキャンタ」というものがありますが、本当はこの時ワインを移しかえるガラス瓶のことをいって、サイズを伝える意味で使うものではないんです。


たぶんサイズの意味で使うのであれば、「カラフェ」がもっとも正しいでしょう。


4. オリとボトルの形の関係

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ボルドーワインのボトルの形がいかり肩になっているのは、そもそもボルドー産のワインはオリが多いことが前提なので、注ぐ時にオリが引っかかりやすいようにボトルがデザインされています(このいかり肩のボトルをボルドー型といいます)。


他にもワインボトルの底の中心が凹んでいるものは、溜まったオリがクボミに納まり液中を舞い上がりにくくするため、というデザインもあります。


ボトルの形を見ればそのワインが長期の熟成を期待されているのかどうかがわかる、ということです。


5. 「オリのあるワインは良いワイン」

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時に「オリがあるワインは良いワイン」と言われることがあります。


これはオリがあるのはワインがよく熟成を経てきたという証拠でもあり、その結晶だということです。


もし、お飲みになっているワインにこのオリを見つけた時はすぐに悪いものとしては捉えずに、むしろしっかりと熟成というプロセスを経てきた良質なワインと思っていただいて大丈夫です。


いわば、ワインにとっては勲章のようなものということです😊



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