『ドクター・デスの遺産 刑事犬養隼人』中山七里
💉あらすじ💉
安楽死を請け負う謎の「ドクター・デス」を追いかける刑事の犬養と高千穂。
正義とは法律を遵守し、目の前の人を苦しませたまま死なせて自分が無罪であるのことなのか?
はたまた目の前の人を楽にさせて自分が有罪になることなのか…?
クライマックスまで目が離せない医療警察ミステリー。
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💉感想💉
安楽死について改めて考えてみる。
本作を読む前に、難病患者に自殺幇助、つまり安楽死させた容疑で2人の医師が逮捕されたニュースを観たばかりです。
わたしはこれからこの様な事件が増えるのではないかと本作を読んで危惧せずにはいられなくなりました。
回復の見込みかがなく、耐え難い苦痛かあり、代替治療がなく、本人の意思がある。
これは安楽死の4条件です。
わたしは自分が難病を患っている立場からか、本作の様に、自分の意思でこの苦痛から逃れ、安らかに逝きたいと言う人間としての「死ぬ権利」の大切さや重要さが尊重される世の中であったら良いなと思いました。
看取る側からしても、去年祖母が他界したのですが、病院からの度々の電話にひやひやさせられるのは精神的辛く、最終的には死に目に会えませんでした。
それだったら家族が全員揃った時に、祖母を囲んで、心を決めて、その時に立ち会えたらどんなに良かったかと思っています。
残ったのは高額な医療費と虚無感だけです。
現在安楽死を認めているのは、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダや米国
の一部に過ぎません。
その中でもスイスは外国人が安楽死できる、世界でたった一つの国で、世界からの患者たちが「理想的な死」を求めて渡航してきます。
日本ももっと安楽死について積極的に考えれたらと思いました。
愛する家族が目の前で苦しんでいる。
それは回復の見込みがなく、代替治療もない。
毎日見ている家族も、見られている本人もどちらもつらいはず。
それなら…
これからは高齢者が人口の大半を占める世の中になっていきます。
ただでさえも介護が大変なのに、老老介護や介護疲れで自殺までする人も後を経ちません。
これでは、「ドクター・デス」が出でくるのも時間の問題です。
いや、もう既にこの世の中に…
今ここに日本の終末期医療の在り方が問われています。
衝撃的な作品でした。
綾野剛、北川景子出演で、映画公開中。
『ドクターデスの遺産』中山七里
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