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『風立ちぬ』堀辰雄

🌳🍃あらすじ🌳🍃
高原のサナトリウム。病に冒された恋人の節子につき添ってやってきた私。死の影におびえながらも、2人は残された時間を生きる。著者の体験に基く表題作他。─Amazon商品説明より


🌳🍃感想🌳🍃
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
風が吹いた、さあ生きよう。
主人公の「私」と結核を患う婚約者の節子が病める時も健やかなる時も、ただその中に幸福を見出そうとするお話。
読後、頭の中にMy Little Loverの「Hello Again~昔からある場所~」という曲が頭の中に流れ込んできた。
その歌詞のひとつひとつがこの小説のために作られたのではないかと思われるほど私の胸を打った。

「記憶の中でずっと二人はいきて行ける
君の声が今も胸に響くよ
それは愛がさまよう影
君は少し泣いた?あの時見えなかった」

たったこのサビの部分だけでもこの『風立ちぬ』のストーリーを十分表現できていることに驚きを隠せない。

節子の最期は明確には描かれてはいない。
泣いて顔を覆い隠した時かもしれないし、布団の上から見る節子の横になっているシルエットが物語っているのかもしれない。
それはわからない。
しかし、終章の「死のかげの谷」で「私」の日記を介してそれは形をなし現実味を帯びていく。
どんな時でも愛し合った二人の軌跡に胸を打たれました。


♡こころの付箋♡
p137 「幸福の思い出ほど、幸福を妨げるものはない」

『風立ちぬ』堀辰雄


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