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和装する日は冠婚葬祭だけじゃない! ②インバウンド向け着付

 この記事を書いている2024年7月現在、主な外貨レートは円安が続いています。これじゃコロナ禍の移動制限がなくなっても海外旅行は当面無理かなと諦めている私です。
 逆に海外からは多くの観光客がやってきていて、今、私の仕事で多いのがこのインバウンド向け着付です。

 どこの国からのお客様か、前もってわかっていれば、彼等の言語の簡単な挨拶だけは覚えていきます。そうやって何か国語かは覚えたものの、咄嗟に出てくるのは日本語(笑)。でもいいんです。お客様が日本語を覚えてきてくださるので、何語であれ話しかければ喜んでもらえます。
 お着付中、袖を通してもらう時や紐の締まり具合の確認は、日本語か片言の英語で話しかけます。例え通じなくても、無言で進めるよりは安心してもらえるようです。

 外国の方に着付けるとき、お国柄や宗教上の理由などで、他人の前で服を脱ぐことに抵抗感を持つ方がいらっしゃいます。そんなときは無理に脱がせず着衣の上からお着付しますが、仕上がりが近づくにつれ暑く感じていることは、表情や様子の変化で読み取れます。
 一番の悩みどころは、紐や帯の締め具合です。外国の方はほぼほぼ、紐や帯を締めていくと「Ohー!」とか「Wa~o!」などと口走ります。とにかく、きついのは苦手なようです。しかし彼等好みの締め具合で着付けると、歩き出した途端に帯が落ちてしまう。紐の代わりにゴムベルトが用意されている店ならいいのですが、そのようなお店は少数派なので、紐での着付は会話と表情で耐えられる限界を探りながら締めていきます。
 この他にも、日本人との体格の違い、色柄の嗜好の違いに難しいと感じるケースも度々あります。ですがやりとりを重ねるうちに「へぇー」と感心することの方が多く、仕上がりを姿見の前で見てニッコリされるお客様を見るたび、やりがいがある仕事だと思うのです。

 そうして送り出すのですが…1~2時間でギブアップの方が多いですかね。でもまあ、着物の体験だしツアーで参加だと時間に制約があるからこんなもんでしょう。脱ぎ終わった後のリラックスした顔と、いろんな言語の「ありがとう」は、私にとっていつも最高のご褒美です。

外国人の多くは鮮やかで大きな色柄を好むようです。
※写っている人々は私が着付けたものではありません

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