見出し画像

私が着付師になるまで⑧

コロナ禍での試験

 2021年、新型コロナの流行は第4波が来ている頃でした。
 着付け技能検定は感染対策の下で行うことが決定し、6月に学科試験がありました。
 この試験に当たっては、今まで通った着付教室での座学の成果を発揮できました。
 結果発表は7月。合格しました。
 私はすぐさま実技試験の受検料を振り込みました。ところが翌月、検定事務局から以下の通知が届いたのです。

 「国家試験とか資格検定で中止になるのって、着付け技能士だけじゃね?」 これについての実態は定かでないですが、何とも理不尽な思いをしたのは確かです。

 時が過ぎ、2022年3月。検定事務局から以下の発表がありました。

新型コロナウィルス感染症の感染拡⼤の影響による令和2年度実技試験及び令和3年度実技試験の中⽌に伴い滞留した実技試験受検者の解消に向けて、実技試験の実施に集中して取り組むため、本年度に限り学科試験は実施しないこととする。

⼀般社団法⼈ 全⽇本着付け技能センター 「令和4年度学科試験中止について」

 これは学科試験に合格しているか否かで、受け止め方が正反対になる発表ですが、私はコツコツ駒を進めていたのが功を奏しました。
 「この発表後に、また撤回されてはたまらない!」 そんな思いで、試験実施期間の序盤である6月に受検希望を出し、運良く希望が通りました。

これまで学んだこと、すべて出し切る

 この頃の私は既に、仕事でお客様の着付を任されるようになっていたので、検定対策のレッスン等は受けず、独り自宅でストップウォッチと物差しを傍らに練習していました。
 そして実技試験当日。トルソーを入れた段ボール箱をキャリーカートで引き、会場入りしました。
 私は東京で受検しましたが、ここでは2級と1級の試験が同じ部屋で実施されます(学科・実技とも)。2級受検者にとっては、1級の様子が窺える貴重な機会でもあるのです。
 試験中は無我夢中で、何があったのかあまり覚えていません。
 終了後は着物を着付けたままトルソーを持ち帰りました。
 翌日、トルソーを見ながら自己評価をしました。「出来自体は80点位かな。でも所作で大幅に減点されてるかも…」。たぶん、2m四方の自分の持ち場を越えて動いていたような気がするのです。
 この試験も採点基準は非公開です。それどころか総合得点も教えてくれません。わかっているのは、減点方式であることと、合格点は60点以上ということだけ。
 どうしてこう、着付の試験はどこも情報公開が遅れているのでしょう? 英検のように項目ごとに得点を教えてくれれば、弱点克服に役立つのにと思うんですけどね。

いよいよ発表

 合格発表は2023年1月末。私が早くに受検したものですから、随分と待ちました。
 結果は…合格!!
 はあーっ、長かったなあ。でも1回で受かって良かった。
 「この結果、まず誰に報告しよう?」
 ここまで2年以上勤めたフォトスタジオは、まさかの同時期に閉店し、私の出勤日は既に終わっていました。
 着付教室の先生は、休室から2年以上経っているうえ、ホームページがなくなっているのです。息災であればいいのですが、そうじゃなければ…と思うと、連絡を取る勇気が出ず、現在に至っています。

皆さんに、ありがとう

 面と向かって言えない性格に時代背景も相まって、これまでずっと黙っていたことを8回に渡り書いてきました。
 ここまで読んでくださった方がもし、私のことをご存じでしたら、このnoteをはじめ便利なSNSを見て、私は元気にやっているということが伝わればいいなと思います。
 そうでない方には、こんな働き方する人もいるんだと、みていただければ幸いです。

 今年、2024年は1級着付け技能士を目指して準備中です。そして、娘の成人式まで1年を切りました。
 今は外出も自由にできます。いつかどこかで、皆さんとご縁がありますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?