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映画『顔のないヒトラーたち』(2014年)

アウシュビッツ裁判に至るまでの、検事たちの奮闘を描いた物語。題材の重大さゆえ、観る側にも覚悟が求められそうだが、映画的なフィクションも織り交ぜられておりテンポよく観られた。劇中、収容所の跡地を訪れる検事と新聞記者の会話が印象深い。「何が見える」「アウシュビッツ」「ただの牧草地さ」

ドイツ人自らの手で、かの地の真実を明かさなければ、そこがいまも牧草地であったかもしれない未来を想像し、僕は言葉を失った。正義とはなにか。歴史とはなにか。ひとを裁くとはなにか。私たちは罪人ではないと、なりえないと胸を張って言えるのか。僕は己に問いかける。しかし、答えは出ない。

戦争にまつわる映画は、どうしても自分たちの国の歴史を振り返って観てしまう。単純に比較できる話ではない。かといって余所事でもない。いくつもの投げかけられた問いを、僕らは真摯に受け取るしかない。ただひとつ確かなことは、真実を明らかにすることの、覚悟の重さだ。

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