見出し画像

【読了014】笹沢左保『木枯し紋次郎(二)』

貧しい農家の六番目に生まれた紋次郎は、母親の手で間引きされる運命だった。姉のお光の機転で救われた幼い命は、しかし孤独と虚無を育んでいった。……人を頼るから裏切られる。頼られてしまえば裏切ることもある。ならばいっそ何事にも関わりを持たず独りのほうがいい。くわえた楊枝が木枯しに似た音を出す。木枯し紋次郎の孤独な旅は、まだ始まったばかりだ。

光文社文庫

 結構前に1巻を読んで以来久々の紋次郎。パターンっちゃパターンだよな~~っていうのが既に2巻目にして確立されてるので「これが15巻まで続くのか……」と思うと若干遠い目になるような。笑
 とはいえ1話1話がしっかり面白いし、「川留めの水は濁った」なんかは紋次郎の亡き姉に関する話だったりするので、これ抜きには語れない、みたいなところはありますね。

 淡々と生きてる、生きようとしている紋次郎に対し、通りがかる人たちみな人間臭いというか、「簡単に達観させねぇぞ」って意思でもって接してきてるような泥臭さがありますよね。
 よくも悪くも執着の強い、粘っこい生臭い人間ばっかりで、どうしてもそんな人たちと「関わり合い」を持つことになってしまう紋次郎の運命が痛々しい反面、外野としては「そうでなくちゃな」と楽しんでしまったり。

 ほんっと毎回毎回ゲストが「人間」なんだよな~。生にも性にも欲にも必死でかじりついてる人間。人って大体はこんなモンなんだ、そう簡単に思いきれない、欲を捨てられない生き物なんだって執拗に見せられてる感じで、その反対を行こうとしてる紋次郎との対比がなかなかどうして、厳しくも面白い。
「土煙に絵馬が舞う」が一番のお気に入りです。あのどうしようもなく救いのないラストには最早痺れるしかない。

 立て続けに読むと飽きそうなので、何かしらの合間合間に息抜きに読もうと思います。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?