【読了001】ミネット・ウォルターズ『カメレオンの影』
今年1冊目の読了はミネット・ウォルターズの『カメレオンの影』。年末から少しずつ読み進めてやっと読了~。時間かかったけど読み応えがあって面白かった!
「こんな無駄に分厚い必要ある? その下りいらないよね?」ってうんざりしちゃう推理小説も結構ある中、こちらはそんなイライラが全然なかったです。
興味を持たせる・持続させる書き方が上手いのかなあ。爆弾で負傷し本国で目覚めた主人公の境遇にまず惹きつけられて、「彼が何を考え、今後どうやって生きていこうとしているのか」の方に興味を引かれてしまうので、彼が何かしら行動している限りその「興味」が途切れないんですね。
全く関係ないところで起こっているように見える連続殺人事件がどういう形で彼の人生に絡んでくるのか? というベクトルの興味も加わってきますし、ホントに飽きてる暇がなかったです。
もう一つ良かったのは「無駄にストレスを与えてくる登場人物がいない」ってとこでした。
いや、いるのはいるんです。「こいっつ……(イラァ…)」ってなる登場人物。でも周囲の人間がしっかりしてるので、そういう人物がただただ好き放題して事態を悪くして、読んでるこっちはひたすらイライラ……みたいなのはなかったです。むしろこまめに「スカッとする」ポイントを設けてくれてたので嬉しかったくらい。
主人公を助けてくれる登場人物がまたいいんですよ。レズカップルのジャクソンとデイジー。彼女たちメインでシリーズもの展開いけるんじゃないの? ってくらい。
特に女性ながらガチムチ体型のジャクソンはさっぱりしてて嫌味がなくて、読んでて安心出来ました。
事件の結末も満足のいくもので。「捜査側の視点と犯人側の視点が交互に描かれる形式のサスペンス」とか「後半になって唐突に浮かび上がる人物が犯人」とか色々なタイプの事件小説がありますが、私は断然フーダニットが好き! と再認識しました。
やっぱり気持ちよく「あー!」って言わせてほしい。犯人の影がチラッと見えた時のドキドキ感とワクワク感、犯人が分かった時の「お前かー!」感が好き!
新年1作目からアタリを引いて大満足です。ミネット・ウォルターズは前に『病める狐』と『遮断地区』を読んだだけなので(しかもどっちもイマイチ覚えてない)、他の作品も色々読んでみたいです。たのしみ!
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