凪を守る

仕事が人生のすべてではない
こんな言葉が言えるのは経済的に余裕がある人が大半であると思っていた。
いや、思っている。

しかし、ここ一年くらいずっと思う。
「なんで仕事してるんだっけ」と。

私自身、IT系の事業会社で3年間、BtoBの販売促進やマーケティングを担当した。
その時の上司は顔に感情がでない。言葉にも感情が出ない。
正確に言うと出すのが苦手、でも仕事がめちゃくちゃできるコンサルティングファームのシニアクラスのような人だった。
彼がガン詰めしてきたから転職したわけではない。むしろ彼みたいに感情を排除して仕事ができる人間になりたかった。

でも、彼のもとにいると理想の自分と現実の自分の乖離が激しくなり、自分で自分に負荷をかけてしまっている気がした。

この時の自分は
「俺はこのままこの会社にいていいのか」という人材系のCMのキャッチコピーみたいな思考にたどり着いた。

そこから自分は今後どうなりたいのか、何をしたいのかを解像度高く考えて人生初の転職活動をすることになったのだが、未来を考えれば考えるほどに「仕事」で何をしたいのか何になりたいのかの、心からの願望がないことに気づいた。

その結果、自分のキャリアを生かしつつ、今後の選択肢を増やせる広告代理店への転職をした。

広告代理店では、もともとエンタメに強かったことと、マーケの経験を買われ、エンタメ系のデジタル広告をメインに担当している。
成果もそこそこ、理想の自分というものをあえて作らないで「凪」の日常を過ごしている。

今は、仕事で何か大成したいなどは何も思わない。なんとなくの日常の延長に年収があがる選択肢があればいいなと働いている。

ITの事業会社にいたころは、自分のキャリアをどのように積みたいからどういうスキルが必要とか行き急ぐように「ビジネスマンの理想像」考えていたけど今は違う。
むしろ、「youtubeやってみたい」や「ボディビルで勝ちたい」「料理が上手くなりたい」など仕事以外でやりたいと思えることのほうが強くなってきた。

今は、人並みの生活はできるくらいの年収はもらっているが経済的に余裕があるとは言えない。
それでも、仕事以外でやりたいことがあると思える「凪」の日常に幸せを感じる。

仕事というのは「凪」の日常を維持する手段でしかないんじゃないだろうか。
勿論仕事が趣味みたいな人は別であるが、自分にとってはそうである。

1年くらい前の資料をボロカスに言われて泣きながら修正して、朝起きるのもつらい自分に「仕事が人生のすべてではない」という言葉と共にこの文章を送り付けたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?