大企業から20代で異業種異業界のスタートアップに転職した話

はじめに

私は20代で、3年弱勤めた大企業の研究職を退職し、IT系スタートアップ企業に事業開発ポジション(BizDev)へ転職しました。人生の転機の一つである転職の前後で得た体験は貴重でしたので、多くの方に自分の体験をシェアするために記事を書きました。なお、前職も現職も執筆に関して許可を取っていませんので、企業情報は伏せた記事となること、ご了承ください。

対象とする読者像

以下、一つでも当てはまる方であれば、読んでいただきたいと考えています。全て転職前に私が感じていた項目です。
・仕事内容・待遇に直接的な不満はなく、人間関係も良好である。しかし、漠然と現状に満たされない感情も持っている人。
・自己啓発のため読書やセミナー参加等、意欲的に活動するも、そこまで身にならず、迷いがある人。
・社内外同年代の活躍ぶりに影響を受け、"このままではいけない"という思いを強く持つ。一方で、何をすべきかはっきりとわからない人。
・スタートアップって激務なので、自分には向かないかもなあ…というイメージが先行しているが、スタートアップの勤務実態について知りたい人。
・大企業で培ったことは、スタートアップでも活かせるのか、気になる人。

筆者の経歴

~22歳:理系大学卒(工学部化学系学科)

~24歳:理系大学院修士課程修了

~27歳:新卒で大企業の研究職として約3年間勤務、プライベートでは結婚

27歳~現在:IT系スタートアップ企業の事業開発ポジション(BizDev)に第二新卒として入社。転職先はアーリーステージのベンチャーです。

大学時代の専門分野:化学。細分化すると、電気化学・無機化学・材料化学です。

新卒入社した会社での担当業務:大学寄りの基礎研究から、ハードウェアエンジニアとして商品を開発する業務を担当していました。所謂研究職・研究開発職と呼ばれる職種・業務領域です。おそらく、理系大学院修士課程を修了した層には割といるタイプのルートだと思います。
ちなみに、プログラミングはExcelで得られたデータをPythonでグラフ化するために一部勉強しましたが、サーバーとかよくわからないし、Webサービスもよくわからん…、という状態です。(今もわかりません)

スタートアップ企業での担当業務:会社はアーリーステージのベンチャー企業です。人数も限られているので、BizDevというポジションですが、ビジネスサイドはなんでもします。新しいプロダクトを考えることに加え、マーケティング・カスタマーサクセス・フィールドセールスと色々なことをやります。転職したてなので、正確にはやる予定です、という言い方の方が正しいです。BizDevという職種を私自身が明確に咀嚼できたタイミングで別記事を書こうと思いますので、本記事の段階では、BizDevはエンジニア以外は全部やる、程度に捉えていただければと思います。他のBizDevの方には失礼になってしまうので、私の記事内では正確な意味で用いていないことを補足しておきます。

転職を決意した経緯と理由

結論、転職した理由は自分の中で思い切って決断しただけです。が、思い切るまでに色々なプロセスを経たので、転職までの経緯として書き連ねようと思います。
大きく3つのパートにわかれます。
①大企業社員としての葛藤
②社外の同年代との出会い
③様々な会社との出会い
それぞれ章立てして書いていきます。

転職を決意した経緯~①大企業社員としての葛藤~


前提として、私は新卒入社した会社では、待遇・仕事・人間関係全て良好でした。会社に対して退職しうるほどの明確かつ強烈な不満はありません。加えて、今もネガティブなイメージはありません。むしろとても感謝しています。
待遇は大企業のためそれなりに給与もあり、かつ安定していました。前職では年功序列・終身雇用を今でも謳っており、20年後のキャリアパスもある程度見通せるような環境でした。
仕事は化学系の知識を活かし、基礎研究から実用化、つまり技術を見出し、お金を生むところまでの流れを、一気通貫で経験させてもらえました。
人間関係に関しては、上司・先輩・同期・後輩とも非常に恵まれ、平日・休日とも会社関係者と飲んだり遊んだりの日々を過ごし、関係も良好でした。
ただ、2年ほど経過した頃から、漠然とこのままで良いのだろうかという思いが芽生えます。
今振り返ると、自分の仕事が、本当に世の中のためになっているのか?世の中のためになるとしても、成熟するまでの時間がかかりすぎていないだろうか?という葛藤だったと思います。当時の私には、なんとなくもやもやとしている感情しか認知していませんでした。

転職を決意した経緯~②社外の同年代との出会い~

漠然ともやもやを抱きながら働き、2年目の中盤に入ったタイミングで、入社したての頃と比べて成長曲線の角度が小さくなってきているなという感覚を持つようになりました。良い意味でも悪い意味でも、自分の業務に慣れてきたのだと思います。
これを打破するための仮説として、社内の人間関係以外も構築するために、若手社会人向けの塾に参加しました。
この塾では、40歳前後の輝かしい経歴の方々の話が聞けるオムニバス形式のものです。同時に、塾自体に参加する人のレベルも高く、高学歴な人や勤務先がコンサル、商社、外資系企業、ベンチャーと私が普段出会わない人が多かったです。
塾の参加経験を通して、以下2つの感情を抱き、それが塾参加後の行動変容につながったと思います。

①講師との年齢差が10年前後であり、社内で描いていたキャリアパスよりも講師のようなキャリアパスに惹かれた
②周りの同年代は自分の専門以外も学ぶ気力が凄まじく、自分は専門(化学)以外を学ぶ姿勢があまりなかったことを自覚させられた
総じて、このままじゃいけないなという感情を強くさせるものでした。
この時点では、もやもやの正体がわからないけど、とりあえず今のままじゃまずい!どうしよう!となっていました笑

転職を決意した経緯~③様々な会社との出会い~

前述のように、もやもやの正体がわからないけど今のままじゃだめだ!となっていた私は、あまり頭がよろしくないので、”社外の同年代と出会って刺激もらったし、転職活動でもしてみたらもっと視界が開けるんじゃね?”という安直な発想で転職活動を始めました。

とりあえず、ビズリーチ、AMBIに登録→どこかしらから案内くる(だいたい製造業かコンサル)→一応エントリーしてみるの流れでした。
最初は転職サイト内でオファーをもらったコンサル会社を受けました。面接中の感触も良く、ありがたいことに複数社内定をいただくことができました。面接で聞かれたフェルミ推定やケース面接などは、元々の理系らしい数字感覚と、前職で取り組んでいた新規事業創造のための壁打ちが活きたのだと思います。
しかしながら、なぜコンサル会社なのか?というそもそもの質問に関してはそれらしい言葉を返しつつも、自分では納得感のない言葉が出ていくのみで、当初抱いていたもやもやが拭えず、結果転職には至らない日々が過ぎました。
このあたりから、転職活動始めれば何か得られるだろうという考えは誤りであったことに気づき、ひたすら自己分析(というか自分ってなんだ?という堂々巡り)をし続ける日々になりました。
そんなとき、以前通っていた塾の講義で出会った講師の方が、スタートアップでCEOをされていて、興味本位で訪問しました。結果的には、このスタートアップに転職したわけではないのですが、自分の人生観を揺さぶる出会いだったと思います。スタートアップはステージ・事業領域と様々ありますが、私が訪問したのはシリーズAラウンド調達済みのアーリーベンチャーでした。

何が衝撃だったかというと、①人材の層と、②社会に訴求する価値でした。

①人材の層
特に課題を見つけるための仮説の立て方がとても論理的でした。ただ、この仮説の立て方というのはコンサル会社も似た部類の能力を要求される領域ですので、単純に優れた人材を引っ張ってきているという印象でした。事実、錚々たる戦略コンサルティングファーム出身者が多かったです。
②社会に訴求する価値
②社会に訴求する価値に関しては、うまく伝わる言い回しができないことが心苦しいです。今の日本社会に〇〇という課題があって、これを解決することが日本社会のボトルネックを解消し、日本を良くするに他ならないという仮説のもと、動いている会社だったので、社会課題を解決するために心血を注いでいるという印象でした。この社会を良くするために価値を提供するという考え方が私にはとてもしっくりきました。この出会いがあり、社会を良くするために心血を注いでいる会社に行きたい、と思うようになり、結果ベンチャー企業を志望するようになりました。

転職先との出会いと内定をもらえた理由

今の企業との出会いは、転職エージェントからの紹介です。大企業の研究職→ベンチャー企業でビジネスサイドへの転職は正直甘くありませんでしたが、幸いにして、紹介いただいた会社の中で、最も魅力を感じた会社から内定をいただくことができました。
入社してから実際に面接をしていただいた方々から伺いましたが、最後の最後まで採用するか迷ったそうです。なんなら、今仲のいい先輩は私の入社に反対だったとか・・・。私の転職先は新卒採用はもちろん、第二新卒もおらず、即戦力採用の中途入社社員ばかりでした。このため、アーリーステージのベンチャーが第二新卒を採用することは、非常に難しい経営判断だと思います。会社がまだ軌道に乗っていない段階で、採用してよいのか?育成する余力はあるのか?ちゃんと育って、戦力になるのか?というように、非常に不確実性が大きかったようです。
その中でも内定をくださった理由をまとめてみます。転職の参考になればと思います。

[前提]
・特にこれといって即戦力となれるスキルセット・経歴・ドメイン知識を持っていない
[内定をくれた理由]
・比較的若い(とはいえ当時27歳なのでぎりぎりだと思いますが)
・地頭がいい(私自身は全く自信ありませんが、そう評価してくださったようです)
・年収が下がることを許容するスタンスを持っていた
・成長を阻害するようなプライドがない
・会社へのカルチャーフィットがとても良い
・人・プロダクトへの好奇心が強い
・自責のスタンスを持っている
以上です。スキルセットがないことはお分かりいただけたと思います。ちなみに、年収に関しては幅を持たせた表現をしますが、200万くらい下がりました。

転職をして働き始めた感想

まだ転職してさほど経っているわけではありませんが、全く後悔していません。今を楽しんでいます。
幸運だったのは、妻がわたしのやりたいことを優先してくれたこと、前職のお世話になった方々と今でも仲良くさせてもらっていること、今の会社の人とも打ち解けて、良い関係を築けていることです。
年収も下がり、景気も悪くなりそうなこのタイミングで小さい会社に飛び込むというのは、相当なリスクを取りに行っていると思いますが、大企業にいる時では見えなかった世界を見ています。

今のところわかっていることは、大企業で培ったスキルセットは何一つ活きてこないけど、マインドセットはちょっと活きる!ということです。

スタートアップで第二新卒として働くと、どういうことをやるのか・キャリアはどうなっていくのか・年収は戻るのかなどの点は今後別の記事を作っていこうと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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