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やったことしか返ってこない!

 現場で支援してきた中で、皆さんに誇れるものばかりではありません。○○○で言うYouTubeにアップできるか?と言われれば、怪しい支援もあったのは事実だと思います。だから偉そうに支援のことを語れないけど、今になって気付いたことがあります。


 例を挙げると、ある自閉症の利用者でした。自閉症ですからこだわりがあります。彼は、電車やバスを見たり、実際に乗ったりするのが大好きです。線路の脇に行くと、2・3時間はそこから微動だにしません。実際に乗ると、途中では絶対に降りません。降りたとしても、その駅でじっと電車やバスを見ています。


 また、朝活動や入浴などに移動する際も大変です。気が乗らないと、自室の鍵を閉め引きこもって出てきません。こちらがカギを開けて部屋に入ると、カーテンにくるまって、「作業行くよ!」そう言うと、「やんな~い!いかな~い!」と言って抵抗し、てこでも動かないぞ!って姿勢でこちらに対抗してきます。


 その当時のぼくの仕事の出来るできないの価値基準は、「言った通りに…思い通りに利用者を動かせること」・「早く利用者を動かせること」でした。動かせられないと、その人は仕事が出来ない!と思っていました。施設あるあるですし、実際に○○○でもそう思っている人もいるかもしれませんね。。。その基準では、線路脇で2・3時間電車を見させるとか、作業に時間通りに誘導できないと、仕事出来ない奴って、レッテルを張られるとか、他の職員にレッテルを張ったりしていました。で、動いてくれないときにどう支援するかと言うと、無理矢理動かすか、怖い顔して半ば脅しのような形でやるしか思い浮かびませんでした。結果は、想像の通りです。決して思い通りに動いてくれません。そればかりか相手の顔も怖くなったような気がします。

 でどうしたか?彼は耳かきしてもらえることが大好きでした。夜勤の日に大体11時ごろに宿直室にタオルを持ってきて、耳かきのおねだりをしてきます。毎回夜勤の度におねだりして、こっちもおねだりしてくれることが嬉しくて、その利用者の要望に応え続けました。来ない日は、こっちから誘いました。するとどうでしょう。結構移動の際にスムーズに動いてくれるようになりました。夜勤の度に彼の耳かきの要求に応えたら、こちらの要求にも応えてくれるようになったということです。


 障害の有無に関らず、人と人が関わる時には、これと同じことが起こっています。“人は鏡”って言葉を聞いたことはありませんか?相手の行動や感情は、こちらの行動や感情に影響され、やったことがそのまま返ってくるということです。怒っていれば、相手も怒ってくるし、笑顔でにこやかならば、相手もにこやかになっていきます。人間関係を良くするかは、この法則しかないと思っています。つらく当たればつらく返ってくるし、大切に思えば、必ず相手から大切にされます。どう相手から関わってもらえるかは、自分次第だということです。マイナスなことをすればマイナスなことが返ってくると覚悟しなければいけないと思います。


 この法則を反転して考えてみると、相手を思いやれない大切にできない人は、自分自身を思いやれない大切にできていないのでは?とふと考えてしまいます。これを機会に皆さんも自分自身を思いやっているのか?大切にしているか?確認してみてください。


 人と人が出会う確率は、1億2千万分の1です。さらに同じ職場で働く確率は、700万×700万(日本の企業数)の1です。同じ職場で一緒に働くことは、もう奇跡以外の何物でもありません。奇跡を起こし合ったもの同士、お互いがお互いに良い影響を与えられる存在でありたいものです。


2019.9 しせつちょうだよりより

だれかの気づき・きっかけになりますように!

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