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しあわせは、なるものじゃなくて、気付くもの!

 正直に言うと、この仕事を始めたばかりの頃は、障害のある人は僕たちより出来ることが少ないし、僕たちがそれを助けてあげているんだという、滅茶苦茶上から目線でいました。そればかりか、最初に勤めた作業所は、知的だだけでなく、精神障害の人もいて、その人たちは怠けてるだけだとも思っていました。


 そんなある日、新しい利用者が入り、その方を迎えに出かけました。住宅街にある和風の立派なお宅です。そこから出てきたのは、今の私くらいの年齢の脳性麻痺の男性で、奥から挨拶された奥様も、脳性麻痺の方でした。


 よく聞いてみると、お子さんもお二人いて、当時社会人として独立されていました。いやぁ衝撃でした。脳性麻痺同士の方が結婚して、立派なお宅に住んで、お子さんも育て上げられた。何となくですが、家族や家、ご本人や奥様の様子にしあわせな雰囲気を感じました。そしてこんな人も、世の中にいるんだと思いました。それから尊敬の念を持って、その方と一緒に仕事しました。支援することが仕事でしたが、その方はこちらが支援することは、とにかく嫌いました。足元悪いのに、自分で何でも運ぼうとします。手先が不自由なのに、細かい仕事も厭いませんでした。障害があることに反骨精神を持って、生きてきたんだろうなぁと想像できました。


 知的障害の方でも、僕たちよりも優れた才能を持っている人がいます。前勤めていた施設にいたある人は、会う人すべての誕生日を瞬時に記憶していました。2度目に会った時には、誕生日+星座を言ってくれます。テレビの中でも、あべけん太さんとか金澤翔子さんとか、○○先生が良く紹介する自閉症の記憶力の画家スティーヴン・ウィルシャーさんとか、本当に凄い才能の持ち主が大勢います。きっと障害があるがゆえに大変なこともあると想像できますが、テレビなんかで観るその姿は、しあわせそうに感じます。


 しあわせの価値は、人それぞれだと思います。でも、こんな考え方多くないですか?お金がたくさんあれば…良い職場だったら…もう少し勉強できれば…容姿が良ければ…、しあわせになれる。どうも、しあわせは、何かを手に入れないとなれないもの=無い物をある物にすればしあわせと捉える人が多い気がします。それだと、障害がある時点で健常の人より出来ること少ないから、しあわせになる資格はないと言っているようなものです。目の前にいる△△△の利用者は、障害はあるけどしあわせと感じているでしょうか?そう感じてもらえるように支援をしているでしょうか!せっかく命削ってする仕事なんだから、目の前の利用者や仲間にしあわせ感じてもらいましょう♪


 無い物ばかりにフォーカスすると辛いですよね。自己否定したり、自分の存在価値が見出せなかったり。障害者やその家族も、障害があることだけにフォーカスすると辛いですが、脳性麻痺のご家族も前述の方々も、決して不しあわせではありません。誰にだって無い物はないけれど、ある物はあるんです。無いもの以外はすべてある!(byラーメンマン)どちらかにフォーカスするかが大切です。仕事はあるし…沢山じゃないけどボーナス貰えるし…容姿は芸能人並みじゃないけど、それなりにだし…そう考えられれば、ちょっとしあわせだと感じられませんか?


 しあわせは、言ってみれば満ち足りていないと思うか満ち足りているかの差です。「足るを知る」と言う言葉がありますが、今すでに充分に満ち足りている、これで良いんだと感じられれば、自然と自分はしあわせなんだと気付くことができると思います。こんな素敵な施設長と一緒に働いている時点で、皆さんもう充分幸せなんですよ(笑)

2019.11 しせつちょうだよりより

だれかの気づき・きっかけになりますように!

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