見出し画像

ひとは、ひとでしか磨かれない!

 これまでの障害者福祉の経験で出会った障害者は、ざっくり300人くらいだと思います。当然その人たちに家族がいて、共に働いた職員も300人以上はいると思います。他の事業所の職員や行政・特別支援学校の人などすべてをひっくるめるとこの業界で出会った人は、1,000人を優に超えているでしょう。


 利用者だけでも、様々な人がいました。見て見て症候群で、人を押したり浣腸したりしてくるダウン症、とにかく他害ばかりの運動精神発達遅滞の人、言葉でのコミュニケーションは可能だけど、5メートル移動するのに一晩掛かる自閉症、持ち物に拘りがあり常に背中とリュックの間にマヨネーズを入れて通所する自閉症(その後とある映画の主人公になりました)、電車やバスを見るとテコでも動かない自閉症…

 ○○○の利用者にも、一人ひとりそれぞれの障害や特性、個性があります。一人として同じ人はいない中、その時々でどのように支援すれば良いのか?問題となる行動を減らすには?出来ることを増やすには?上手くコミュニケーション取るには?自分なりに向き合って考えて支援してきたつもりです。もちろん、思い通りに上手くいった支援もあれば、上手くいかない支援もありました。どちらといえば確実に上手くいかない方が多く、未だにその支援について、こうすれば良かった、他に良い方法があったかも…と、ふと思い出す利用者がいるのも事実です。


 ご家族にも、いろんな人がいました。絶対的に自分を信じて、職場を離れた今も飲み会に誘ってくれたり、イベントやると応援に来てくださったり、ありがたいご家族もいます。施設内で落ち着かない利用者に親子分離を勧めて、泣かせてしまったご家族もいます。顔を合わせるたびに施設批判を繰り返したり、バカだちょんだと人格を否定してくるクレーマーの親御さんもいました。


 職員も本当に様々です。順調に育ってくれる人もいれば、なかなか成長が進まない人もいます。そんな人でも、ちょっとしたきっかけで急成長した人もいました。苦労して入職してもらったけど、すぐに辞めてしまった人もいます。新しいこと始めると、怒り出して無視されたこともあります。前の職場では、謂れのないことでトップから今で言えばパワハラも受けまた。。。そのおかげで今こうして皆さんと一緒に○○○で仕事出来ているわけですけど・・・♪


 もし、私がこの知的障害者福祉の仕事始めたころより少し成長しているとすれば、その要因はたった一つです。これまで出会ってくれた人達のお陰だと確信しています。上手くいった支援の対象である利用者、絶対的に信じてくれたご家族、順調に育ってくれた職員。この人たちが自分に自信や勇気・自己肯定感を与えてくれました。

 でも、成長により大きな影響を与えてくれたのは、上手くいかなかった人たちです。支援で困難を極めた利用者、ずっと批判や人格否定を繰り返す保護者、不満を抱えて辞めていった職員…彼らは、私に難題を突き付けてきました。上手く支援するには?保護者に信頼してもらうには?毎日楽しく永く働き続けられる職場にするには?もう逃げ出したい、誰かの責任にしたい、つぶれそう、そう思ったことも何度もありましたが、何とか逃げることなくここまで来れました。すべてが解決はしていないけど、難題を突き付けられたことで学ぶことができ、気付きや成長、乗り越えた時の達成感、自己効力感…様々なものが得られたと感じています。

 人間って、人の間と書きます。人は人の間、人との出会いでしか磨かれません。それも、圧倒的に困った人ほど、キレイにピカピカに磨いてくれるのは間違いありません。なかなか思い通りにいかない利用者、クレーマーの保護者、いやな上司、こんな人たちが目の前に表れたら、逃げずに磨いてくれる人が来たって、まずは喜んじゃいましょう♪

2019.12 しせつちょうだよりより

だれかの気づき・きっかけになりますように!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?