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国際女性デーをもう「女王の日」と呼ばせない「中国広告紹介」

皆さんこんにちは!
最近、楽でよくポニーテールで出かけていますが、子供たちに「お姉さん」と何回も呼ばれて、困っている韓(男性)です。


さていきなりですが、質問です。
3月8日は何の日でしょうか?

答えは「国際女性デー」です!
 
3月8日の国際女性デーは、1975年に、女性の権利と政治的、経済的分野への参加を盛り立てていくために、国連が制定した記念日です。最近では同日にちなんだイタリアの「ミモザの日」から、ミモザの花を街で目にすることも多いですが、中国では独特の展開をしています。


中国の「女性デー(中国語では“婦女節”)」

法律で女性に半日休暇の付与があるなど国を挙げたお祝いムードがあり、またリアル店舗、ECで女性向け商戦が繰り広げられます。「婦女」の言葉が年配の女性をイメージすることから、数年前からは「女王節」「女神節」といった名称も使われています。
 
ところが今年は違います!
女性のことを「女王」や「女神」のような言い方を拒否する女性が急増しているのです。特に1級都市である北京や上海などに暮らすZ世代で独立している女性たちは「私たちは女王でも、女神でもない。ただの1人の女性です。ただの女性でも権利は平等にあるべきだ!」と主張するのです。
この急な変化にどのように対応していくのか、メーカーやブランドにとっては大きな課題となっています。
今回ご紹介する事例は、まさにその成功例と言えるのではないでしょうか。


大手ネットスーパー「天猫超市(Tmall Mart)」が見せた「小さな感動」

天猫超市(Tmall Mart)とは
2011年4月に誕生したアリババ傘下のネットスーパーで、今や「No.1ネットスーパー」の地位を獲得したと言われています。
アリババ独自の高品質で低価格なネットスーパーとして、全国100都市で半径20キロメートル以内の「立体生活圏」を構築し、同圏内では「1時間配達」「半日配達」「翌日配達」などの柔軟な配達サービスを提供しています。

そんな大手ネットスーパーが今年の3月8日に、ある「小さなこと」をしてみました。


一、 本当の物語を通して、女性配達員の存在に注目させる
彼女のことを#配達お姉さん#と呼んでください。

「働く女性は最も輝いている」「女性は空の半分を支えることができる」、これは半世紀前から中国で言い伝えられてきた言葉です。 しかし、今日に至るまで私たちの生活の中からは無視され、相応しい呼び方すら持っていない働く女性がたくさんいます。—ほとんどの場合、一般の人々は配達員が女性にも関わらず彼女たちを「宅配のお兄さん」と呼んでいるのです。
実際、多くのネットユーザーがこの現象に気づいています:女性配達員の増加に伴い、一般的な「宅配のお兄さん」という呼び方はもはや適切ではありませんが、この長年の習慣を変えるきっかけがないのです。
 
ここで、天猫超市(Tmall Mart)は、女性配達員が自ら自分の日常を語ることに着目し、もっと自分に相応しい呼び方で呼んでほしいと呼びかけたのです。

動画URL:https://weibo.com/3276076644/MwhD4DVyb

カメラに向かってくるのは天猫超市の4人の女性配達員で、彼女たちは消費者が天猫超市で購入した商品を1つずつ自宅に届けるのが日々の仕事です。 彼女たちは真面目に働き、地域のお客さんからも好かれ尊敬されていますが、呼び方については悩みがあるようです:
「いつも宅配のお兄さんと呼ばれて、実は恥ずかしいんです。」
「私はまだ20代前半なのに、師匠って。。。(中国語では、ある分野のベテランの男性に対して「師匠」と呼びます)」
「本当は多分、お客さんたちもわざわざそう呼んでいるつもりはなくて、どう呼んだらいいかわからないんだと思います。私は一度、女のお兄さんと呼ばれたこともありました。」
「どうして、単純にお姉さんと呼んでくれないの?」
「配達のお姉さんと呼んでくれたら十分なんですけど。。。」
 
このような女性たちの声に対して天猫超市は3月8日に「玄関先にいる女性配達員のことをどう呼べたらいいかわからいなら、配達のお姉さんと呼んでください」と正式に提唱しました。
 
今回は「配達のお姉さん」たちのために天猫超市として声を上げ、解決策を提案することができたと同時に、ブランドに対する好感度アップにも繋げることが出来ています。天猫超市にとって、まさにウィンウィンウィンの状況を作ることが出来ました。
 
但し、もっとも重要なのは、女性配達員がこの呼び方で呼ばれ尊敬されるということです。


二、大ヒットしたドラマに主演した女優さんー高葉氏をアンバサダーに起用し独立した女性であるヒロインが女性配達員のために声を上げる

国際女性デーは、毎年女性に対するマーケティングが最も激しくなる節目の一つです。このような女性だけをターゲットとする祝日に天猫超市は、誰もが見落としがちな問題を提起しより適切で尊重されるアプローチの方法を提唱しました。もちろん、取り組み後にもっと重要なのは、そのコンセプトをいかに軌道に乗せるかです。


出典:https://weibo.com/u/3276076644?tabtype=feed

天猫超市は公式WEIBOで率先して、「配達員のお姉さん」PR動画及び「配達員のお姉さん」ポスター&ポストカードを公開し、みんなでアクションを起こすことを提唱しました。

出典:https://weibo.com/u/3276076644?tabtype=feed

また、アンバサダーである高葉氏もこの取り組みに参加し、人々が生活の中で「配達員のお姉さん」という言葉をもっと頻繁に使うようになることを呼びかけました。 高葉氏の非常にたくましく、独立したキャリアウーマンのイメージがまたこのキャンペーンにぴったりでした。

出典:https://weibo.com/u/3276076644?tabtype=feed

同時に、天猫超市でライブを行っているキャストも、「玄関先にいる女性配達員のことをどう呼べたらいいかわからいなら、配達のお姉さんと呼んでください」と、度々ライブ放送で発信しました。
さらに天猫超市は配達のお姉さんがプリントされた1000万個の宅配BOXを全国各地に送り、さらに範囲を広げていきました。

出典:https://weibo.com/u/3276076644?tabtype=feed

あわせて、天猫超市は全国に18万枚の「配達員のお姉さん」ハガキを投下し、 「宅配BOX+ハガキ」により女性配達員への対応という問題に注目する人を増加させました。

出典:https://weibo.com/u/3276076644?tabtype=feed

オンラインとオフラインの連携により「#ほとんどの女性配達員は「宅配のお兄さん」と呼ばれたくない」というトピックが、24時間近くトレンドのトップ10に入りを果たし、大きな話題を呼びました。

出典:WEIBO

さて我々は天猫超市の事例から、何を学べるのでしょうか?

①    行事や祝日のキャンペーンは消費者の価値観の変化に寄り添わせる
Z世代が主要消費層となり、さらにα世代の購買力が高まる現代、過去の常識や概念が覆され、今までのマーケティングやPRの手法がどんどん通用しなくなってきています。ターゲット層のリアルな変化にいち早く気づき、それに寄り添ったキャンペーンを実施することで、他社との差別化を図ることができます。
②    ブランデイングは媚びるより、提唱者になれ
ブランデイング施策においては、ただトレンドや感動を追っかけるのではなく、誰も気づいていない「小さな変化」の提唱者となり、消費者の共感を得ることが非常に大事なことです。中国の急速な発展に伴う社会的問題に着目し、呼びかけることで、一気に広まる可能性があります。
③    アンバサダーやKOLの起用は旬と相性が大事
天猫超市が起用したアンバサダーの女優は、国際女性デー前の2〜3月に大ヒットドラマの主演を務めた人物です。彼女はその役も普段も「独立した女性」のイメージがあるため、今回のキャンペーンの成功に大きく貢献したのでしょう。
今まで知名度や販売促進力だけでKOLを起用し、ブランドとの相性が良くない、イメージが合わないなどの理由でかえって消費者の反感を買い、失敗した事例が多くあります。
話題性はもちろん大事ですが、キャンペーンのコンセプトとの相性が結果を左右することもあります。
 
こちらの3点が学びのポイントであり、みなさまの今後の中国向け広告に生かすことが出来るポイントとなるのではないでしょうか?
中国向けのマーケティングを行うなら、他社が動いていない今がチャンスです!!中国に向けて情報発信をご検討の皆様は、是非弊社にご相談ください!
 
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