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【詩】絵に描いた花

あなたが愛でる花は私からはよく見えない
いつもすっぽり あなたが邪魔だから
私はずっと花の絵を描いている

脳裏の舞台で 花は 陶芸家の餌食
ぐにゃぐにゃと愛撫されて開花される

羨ましいな嫉妬しちゃうかな
ないものねだりの女神が囁いて
私にページを捲らせる

花が見えない以上
見えるあなた出身で想像している

苔にされた花から真夏の花火まで
私は描いてあなたは白けて
キャンバスは色づいて色味を失って

私とあなたが見つめ合って
花はミシャミシャと旋律した


あなたの花が私には見えない


いくら目を擦ってもピントがぼやけて
愛がどこにあるのかが判らない

私のスケッチブックが崩壊して
空間を花で埋め尽くし
あなたが見えなくなった

花と唇が触れそうで
あなたと私の手は触れなくて

私の手はそれでも花を描いていて
あなたは絵から目を離せなくて
私は花を探していた

どれだけ背後を覗き込んでも花は無くて
まるでどこにも無かったみたいな幻想

私に跪くようなあなたを乗り越えて
私はずっとあなたの背後を覗き込んで
花を愛したくて堪らない!


愛がハートの形をしているならば
どうか心臓に花をください

私の瞳に確かにちらついた
あの花が欲しいのです


トップ画像は、ダニエルさんよりお借りしました。
花を持ち、凛と見据える姿のイラストが、この詩に寄り添ってくださるように思いました。透明感のあるお姉さんは大好きです!!

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