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2024年・物語詩集

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2024年2月から週1回のペースで始めた「物語詩」の記事を入れています。ここでの物語詩の定義は、詩の中で起承転結が入っているものとします。
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記事一覧

【物語詩】魂の羽

 すっかり泉は干上がってしまった  しっかり者の太陽のせいで  いっぱい干した洗濯物は乾い…

【物語詩】海に包まれる

 白は200色あるって聞くけれど  海にはすべての白が詰まっているのかな?  砂浜の 波打ち…

【物語詩】織姫と彦星の364日間

 やれやれ やっとこの日が来た  今宵は七夕 年に一度のワシの休日  ワシが誰だと? ………

【物語詩】探偵のメイは?

 私のおじさんが行方不明になった  おじさんの職業は探偵だ  ワクワクする推理の話をよく聞…

【物語詩】湖の結晶

 ある田舎に湖がありました  小ぶりですがサファイアのように青くて  美しい楕円形の水辺の…

【物語詩】果報ラッピング職人

 箱に詰めて包装して届けるのがワシの仕事  何から何までオーダーメイドだぞい!  送り主が…

【物語詩】空の模様

 ある日 旅人は気づいた  どうも空模様がおかしいぞ  あっちは黄色で こっちは紫色だ  いつもの青い空はどこ行った?  空が心配になった旅人は山登りをした  近くにあった 一番高い山にスルスルと  頂上に辿り着くと大きな口で空を呼ぶ 「おーい!」「どうしたんだー?」  すると弱々しい声が天から降ってくる 「なんだか調子が悪いのさ」 「さっきから青くなれなくてね」  どうやら空は一休みをしたいらしい  旅人は合点し 助けてやりたいと思い立つ  旅で鍛えた強くてよく動く

【物語詩】ギターが鳴いている

 駅前の路上の 端の方にある植え込みの陰  黒くて古びたギターケースが隠れん坊  まるで何…

【物語詩】コトバの花

 その広い「大地」には今日も種が撒かれる  耕す人なんていないのに  雨のように「天空」か…

【物語詩】玄マインド

 最近の運勢は低迷気味  朝の星座占いがなんと3日連続で最下位!  チャンネル固定しないあ…

【物語詩】子どもになった夢を見た日

 背中に羽が生えたように体が軽い  でも見える世界は急に低い  驚きでジタバタする手足は短…

【物語詩】植物学者の女

 いくつもの植物園を縦横無尽して  数多の植物図鑑を暗記して  頭も心も緑で染まるくらいに…

【物語詩】私の心臓

 いっつもズルをして悪びれない  あの人の心臓には毛が生えているらしい  じゃあ剛毛な頭の…

【物語詩】おじいさんの居ない部屋

 おじいさんに会っていないのに  おじいさんを知ることはできない  おじいさんと会話したことがないのに  おじいさんの口癖はわからない  おじいさんと暮らしたことがないのに  おじいさんの生き方を決めつけられない  おじいさんが居ないのに なぜか  おじいさんの居ないおじいさんの部屋で  おじいさんのテレビが唸っていた  おじいさんの茶碗が鳴っていた  おじいさんの台所の蛇口が泣いていた  おじいさんの不在を嘆いていた  私以外の人はポルターガイストと断罪して  怯えな