見出し画像

【物語詩】探偵のメイは?

 私のおじさんが行方不明になった
 おじさんの職業は探偵だ
 ワクワクする推理の話をよく聞いていた
 メイの私はおじさん捜しの旅を始める

 事務所の机を探ってみて手に入れた
 暗号のメモ書きと宝探しの地図
 これはダイイン……もとい大事な手掛かり
 直感した私はキュッと口元を引き締めた

 あーでもない こーでもないと
 ぐるぐると歩いて思考を回転させる

 事務所の鳩時計が鳴いた頃
 ふと私の腹時計も泣き出した
 しょうがない 一時休戦だ!
 私は戦の準備をしにランチに出掛ける

 こんなことで忘れたりしない
 大好物のレバニラ定食を食べながら考える

 定食に付いていた柴漬けをコリコリと
 噛みしめながら地図を思い出し 閃く
 アレ……この食堂のことじゃないか!?
 おじさんのお気に入りを知って複雑な胸中

 でもまだ暗号メモが残っている!
 私はきっとおじさんの居所を突き止める!

 宝の地図の当てが外れて私の炎が灯る
 負けず嫌いで容赦なく燃える炎が
 暗号の答えを考えて考察して察して
 ある場所へのサインにやっと気づく

 それはおじさんと何度も行った
 少し遠くて広大な公園
 夕焼けを追いかけるかのように走り
 公園のど真ん中でおじさんを見つける

 おじさんはテントを張り 紅茶を飲み
 私のことをお客様のように迎え入れる
「やぁ ようこそ……」
 まるで私が来ると思っていたようだ

 私はおじさんと紅茶を飲んだ
 話すのはここまでの推理の話や
 どんな気持ちになったかなんて話

 おじさんは終始ニッコリと
 お茶をごくりと飲みながら
 私の話をじっくりを聞いていた

 一世一代のメイ推理
 私の言葉におじさんはどう返すのか
 アイマイな空白の後
 おじさんは返した「面白いよ」

 おじさんはその後 自分の推理を展開
 私の思考回路をなぞるメイ推理
 ただし食堂のオーダーだけは間違い
 私のことをまだ海老天好きとメイ推理

 エビテンスを求めて私は問う
 おじさんは自信満々にさらに問う
 そんなQで締められそうな結末に
 稲妻のような運命の閃き

 きっとずっと 私達は探している
 完全無欠な殻を破る
 無敵なAを確かに探している

 さあ 誰か解いてみせて
 誰にも解けないそのメイ


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?