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運動と脳機能の育成(2)


現代に生きる僕たちの身体は、約10万年前に進化した身体の延長であり、その当時、脚の速いアンテロープを追い詰めて仕留めることのできる身体能力も持っていた。

その頃から長距離にも、短距離にも、様々な環境に対して対応できるだけの筋肉を備え、日頃から使われていた。

要するに、私達の遺伝子には狩猟採集時代の行動様式が組み込まれていて、野山を走り回ることが身体にとって『正常』であるため、その行動様式を崩してしまうと生物学的バランスを崩してしまうことだ。

現代は便利な世の中になり、狩猟活動を行わずとも徒歩圏内にて食べ物が手に入る。運動が必須ではない世の中において精神疾患を患う者が後を絶たないのが頷ける。


それぞれの運動の負荷レベルにおける効果

運動は健康への道であり、どの強度によるかに関わらず、セロトニンや脳由来神経栄養因子(BDNF)の生成につながる。

※()内パーセンテージは最大心拍数を100%とした場合の割合を示す。
※ 最大心拍数の求め方 = 「220ー年齢」

低強度:ウォーキング(55%〜65%)
習慣に1時間のウォーキングと取り入れることによって、主に精神面において悲観的考えを抑制できるようになる。
中強度:ジョギング(65%〜75%)
ニューロン新生+細胞の破壊をもたらす炎症因子の始末が起こる。脳内に抗酸化剤も作られる。取り組みはじめたばかりの段階では、ストレスホルモンである脳の毒となるコルチゾールも生成されるが、習慣化されれば次第に脳がストレス抵抗力を持ち始め、それを抑制するBDNFの分泌量が勝るようになる。それと共に身体の免疫力もアップする。
高強度:ランニング(75%〜90%)
下垂体からヒト成長ホルモン(HGH)が分泌される。この物質は加齢による脳の減少を抑える効果がある。インターバルとしてジョギングの合間に50秒間全力ダッシュを取り入れるレバ効果を得られる。「限界に抗う行為」であるため、精神的にも肉体的にも人を強くする。これを取り入れれば、低強度だけトレーニングと比べて、目覚しくノルアドレナリンとBDNFが増加する。インターバルとして、エアロバイクで30秒間の全力疾走をした場合にHGHが6倍に増加したのが確認されている。



運動をしない人間の言い訳として「やる気が起こらない」との言葉をよく聞くが、そもそも「やる気」はやらないと(行動しないと)起こらないことも分かっている。

スクワットをしている時のHGH濃度は、30分間、高強度でランニングをしている時の2倍だった。

毎日の運動は隔日の運動より急速にBDNFを増やすが、増えていく期間が短いだけである為、毎日が難しいのなら隔日でもいいから習慣に取り入れることを優先するのが良い。

運動が習慣になっていない人が急に運動を取り入れると、当初はストレスがかかり、BDNFよりもコルチゾールの増加する。よって、いきなり中強度から始めるのではなく、低強度のウォーキングから始めるのがおすすめ。

できれば社会的な相互作用もニューロン新生に影響する為、仲間や愛する人と共に取り組むと更に良い。


◎今日の呟き
改めて、脳機能向上に関与する記述の部分だけに絞って抜粋してまとめてみました。有酸素運動において動かす筋肉は「下半身」であり、スクワットも「下半身」を鍛える運動です。
ネックはどう考えても下半身ですね。体験談として、毎日ジョギングをするようになってから頭のキレは良くなるし、ストレスも感じにくくなり暴飲暴食もなくなっていいことづくめです。
書かれてあるとおり普段から運動が習慣化できていない人にとってはコルチゾールばかり増える「苦痛」でしかないかもしれませんが、それは初めだけです。
習慣化の技術を使って運動を習慣化してしまえば、楽でストレスフリーに近い毎日があなたを待っています。

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