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【詩】マドラー

冬の底に芽を出す
春の気配
風よ、マドラーとなって
逆巻く感傷を晴らしておくれ

冬なのに君が頼んだ
アイスカフェ・ラテは
少しも混ざらず
ミルクと珈琲で分かれていた

冬なのにアイスは可笑しいね
そう呟くと君は苦い顔
その日、あまり話さず
君と別れた

冬の苦きを溶かす
春の気配
風よ、マドラーとなって
浮き立つ予感で満たしておくれ

★ココア共和国 2023年3月号 投稿詩傑作集Ⅱ(電子版のみ)に選ばれました

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