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未来を選択する勇気

以前書いたnoteで、「嫌われる勇気」を読んで感じたことをまた書きますなんて言っておきながら、1ヶ月以上が経ってしまった。

その間に、続編の「幸せになる勇気」を図書館で借りてきて読み、「嫌われる勇気」の方はずっと手元に置いておきたくて改めてAmazonで購入したりもした。

◎「嫌われる勇気」を読むきっかけ

「嫌われる勇気」を今のタイミングで手に取ったきっかけは、ホリエモンが「これまで試行錯誤する中で会得してきた思考はアドラーがすでに言ってきたことだった。もっと早くにアドラーに出会えれば良かった」といった趣旨の発言を動画チャンネルでしていたからだ。

「トラウマなんて存在しない」という考えを自分自身で会得してきたホリエモンは、知人から「アドラーも同じことを言っている」と教えてもらったことからわりと最近になってからアドラー心理学の本を読んだという。

いうまでもなくホリエモンはライブドア事件でどん底を味わった方だ。社会の理不尽への恨みを持っていそうなものだし、表舞台から姿を隠し様々な批判の矢面に立つような言動をしないようになっていてもおかしくないはずだ。(リクルート事件後に、創業者の江副浩正氏がどんな思いを持って人生を送られていたのだろうかとふと思う)

でも、ホリエモンは颯爽と表舞台に復活し、時代の最先端の生き方を全力で楽しみ駆け抜けながら、誹謗中傷などもろともせずに社会に向かってメッセージを発信し続けている。その強さの源が何かを知りたいと思っているのは、僕だけではないことだろう。

◎トラウマは存在しない

世の中の大多数の人が内面に劣等感を抱え、戻らない過去のことについて悔やんだり、現状への不満の原因を過去のせいにして生きている。これまでの僕もその一人であり、特に10代、20代の若かった頃の拗らせ具合はひどいものだったなと今となっては思う。

ホリエモンが自身で会得し、アドラーが100年前に唱えていたトラウマの否定。ポイントは、過去が未来を決めるわけではないということだ。トラウマを認めることは、未来は過去に左右されるという原因論に行き着いてしまう。トラウマというものを作っているのは、意識しているかどうかは別にして自分自身の選択。過去の出来事を理由にして未来を選んでいるいるのは自分だという考え方を手に入れることで、未来を決める主体は自分であることになる。未来を決めるカードはそれぞれの人が自分の手の中に持っているのだ。

「過去」というものについては捉え方に注意が必要だ。過去に起こったことをどのように意味づけするかは今の自分次第ということだということが前提となる。

◎街の未来を決める主体は自分たち

アドラーの教えは、人の生き方だけでなく、あらゆるものごとの未来を考える時にも有用だ。街の未来もそうだろう。

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つい先日の1月17日で阪神・淡路大震災から25年の時が経過した。僕の住む神戸の街は震災で大きく傷つき、僕自身の生き方も震災に大きく影響された。震災があったことは紛れもない事実であり、街が多くのものを失った痛みをなかったことにはできない。でも、それらの出来事への意味づけを行い、未来の街を作っていくのはこれからの僕たち自身の選択だ。

未来は常に「いま、ここ」から始まっていく。誰かが「未来から見れば、常に今がスタート地点」と言っていたが、そういう考え方が大切だ。

◎実践するには勇気が必要

アドラーは、人の悩みは対人関係が全てであると言い、自分の課題か他人の課題かによって関わり方を決める「課題の分離」によって世界をシンプルに捉えることができると説いている。

一方で、全ての悩みの根源である対人関係から自由になるためには、自由のコストが必要になるという。それが、嫌われる勇気。他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わない限り自分の人生を貫くことはできない。

時にはトラウマといった理由をつけたくなることもあるかもしれない。未来は自分が能動的に選択するものだという考え方に基づいて行動し続けるには勇気を持ち続けることが必要だ。考え方自体はシンプルと言っても良いものだが、それを腹落ちして理解することは簡単ではないし、実践するには覚悟が求められる。ホリエモンの言動に惹きつけられるのは、その背後にある覚悟と勇気を感じるからだと思う。彼はとんでもない境地に達している勇者なのだ。

詳しく話をしだすとキリがなくなるが、「人生は線ではなく点の連続」「競争の否定」「共同体感覚」など刺激的でハッとする考えや言葉が溢れていた「嫌われる勇気」。読了後に認識する世界は、読み始める前とは異なっているように感じた。その清々しい感覚は忘れないようにしたい。

ちなみに、続編の「幸せになる勇気」は、「嫌われる勇気」において哲学者との対話の中でアドラーの教えを会得した青年が、その哲学を学校の先生となり実践してみたものの上手くいかず、再び哲学者のもとを訪れるという話になる。

僕ももっと早くにアドラーの教えに出会えれば良かったと思っているけど、一方で若い時に読んで心の底から理解できたかといえば自信がない。アドラーの考え方は、結構多くの書物にも影響を与えているということも知った。名前は聞いたことがあるけどアドラーの哲学のことをよく知らなかったという方は、「嫌われる勇気」を一読されることをオススメしたい。

未来を決めるのは、過去ではなく「いま、ここ」で能動的に選択する自分自身何ものにも囚われない自由を手に入れるために必要なものは、勇気だけだ。

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