見出し画像

初恋はマルチ商法で終わった

7年付き合った彼氏から
「会社のノルマが大変で、これに入ってくれないか?」とのメッセージがあった。
その日は復縁して5回目に、別れた直後の話だった。
もちろん断った。
個人向けの商品を紹介されたのではなく、
家族向けのプランだったせいだ。

もしこれがわたしだけに、だったら、
断れただろうか。

どっちにしろ、初恋の彼とはもう会えないと決めた。

なのに先週、また会うことになった。
古着屋とカフェを巡って、
お昼にはラーメンを食べ、
そのままわたしの家に来たのだ。

その夜は久しぶりに嗅ぐ彼の匂いがとても落ち着くせいか、ぐっすり10時間以上も眠った。

起きたら彼はもういなくなって、
何のために家に来たか、さっぱり分からなかった。

もしかしたら仕事がつらくなって、
自己承認欲求を満たすためにわたしに会いに来たのかもしれない。
久しぶりに会いたいと言い出したのはわたしのほうだったのに。

別に何かを期待しているわけではないのだ。

ただ彼を好きでいることが習慣になっていて、
それを止めることが非常に困難で、
そのずるい笑顔をみたくなるのだ。

だけどわたしはわかっている、
初恋はとっくに終わったことを。
好きだった人はもう戻らないことも。

この記事が参加している募集

70億分の1の私を見つけてくれてありがとう。