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嵐と夕暮れとポテトチップス

嵐のあと、
近所のカサブランカが花粉に黄色く染められた。
弱そうに見えるお花が、
あの雷雨に耐えたのか。
すごいな。

雨が降ると涼しくなる、
雨が降る直前のジメジメとした空気は
故郷の空気によく似ている。
湿気の強い地域で、一年中曇ってます。
夏の雨のあとは街道が汚くなり、
流されるビニール袋と、
海鮮市場の匂い。
小学校の思い出は雨に汚された新しい赤いNikeのマークがアクセントの白い靴下。
あれは科学館の帰りだった。
好きな男の子と同じ班だった。
楽しかったのに帰り道に白い靴下が汚された、
洗っても落ちなかった。

夕暮れの時から徐々に鬱になる、
気取ったメンヘラの鬱ではなく、
本当にどうしようも無い悲しさと絶望。
希望も夢も愛もどうでもよくなる、
床に落ちた抜け髪もどうでもよくなる。

辛い料理をひたすら食べて、
血のでないリスカ。
推理小説が原作の古い映画、
こんなに生きるエネルギーを持っている劇中人物と俳優達が羨ましい。
演技することすら諦めかけてる。

寒い、
7月の半ばになっても、
寒い。
一年中、一番好きな月なのに、
寒い。

サワークリーム味のポテトチップスを食べながら。

70億分の1の私を見つけてくれてありがとう。