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【SXSW2022現地レポート#3】デジタルガジェットから最新の技術開発、社会貢献プロダクトまで。今年のInnovation Awardの注目コンテンツは??

こんにちは!日テレR&Dラボです。SXSWレポート#3では、世界中から昨年1年間で開発されたデジタルプロダクトが一挙集結し、会期中にWinnerを競うInnovation Awardについてレポートします!

・第一弾はこちら
【SXSW2022現地レポート#1】3年ぶりの現地開催!準備~前日編

・第二弾はこちら
【SXSW2022現地レポート#2】Prime VideoからNFTアート「Doodles」まで大規模ブースを一挙ご紹介!

■Innovation Awardについて

会場全体

Innovation Awardとは公式サイトから引用させていただくと「コネクテッドワールドで最もエキサイティングな技術開発を表彰」する展示会です。SXSW2022では2021年1月〜12月に開発されたデジタルプロジェクトが対象となっており、研究的な取り組みからガジェットなどリアル体験できるものまで幅広くあります。

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どっちが展示している側かわからないような光景も

幅の広さはカテゴリにも表れており、下記の計13カテゴリにて各4〜5つがファイナリストとして選出され会場にて展示されています。

・AI & Machine Learning:
・Health, Med & BioTech:
・Innovation in Connecting People:
・Music & Audio Innovation:
・New Economy:
・Robotics & Hardware:
・Smart Cities, Transportation & Delivery:
・Social & Culture Impact:
・Speculative Design:
・Student Innovation
・Visual Media Experience:
・VR, AR & MR:
・Wearable Tech:

本記事では、この中からWinnerとして選出されたものを中心にいくつかご紹介いたします!

■光線療法によるアレルギー対策デバイス

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「アレルギーに苦しむ人の生活の質を改善する」を使命とするアメリカの医療系会社Fluo Labs Incから発表されたデバイス。花粉やアレルギーの主な原因となるヒスタミンを光線によって除去する技術を開発しているとのこと。一般的な抗ヒスタミン剤は集中力の低下や、眠気などの副作用があるが、光線療法によって一切の副作用なしに季節性アレルギー症状を治癒することができるそうです。
こちらはHealth, Med & BioTechの部門にてWinnerとなりました。

■ホログラムディスプレイ 「PROTO」

白バックで撮影しただけの通常のカメラ映像を存在感のある立体のように表示するホログラムディスプレイ。透明な液晶画面の後ろに白い空間のある奥行きのある筐体となっています。
技術的にはシンプルで、箱の内側に特殊な照明加工がなされておりどの角度から見ても箱型に見えるようになっています。また面と面の境界がカーブになっていることで境界線が人物の後ろに見えるようにというシンプルな見せ方の工夫も。

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価格は等身大の人物を表示可能な大きいサイズは6万ドル、SXSWでリリースとなった卓上型のPortal Mは2000ドルほどで、余裕のある社会人ならギリ買えなくはないですね。
また開発しているPROTOは米国ビジネス紙Fast Companyの「The 10 most innovative companies in video in 2022」に選出され、CESでも3つの賞を受賞しています。そしてSXSW2022のInnovation AwardでもInnovation in Connecting PeopleのWinnerに輝きました。

さらにこの会社のユニークな点として、同社が世界で初めて双方向の対話型ホログラフィック通信プラットフォームを構築したとう意味を込めて、「プロト」という「最初の」という意味の社名にSXSWの時期に合わせて変更しました。
MetaとなったFacebookしかり、アメリカの会社は強気といいますかノリがいいですね(?)

■Degree Inclusiveによるインクルーシブデオドラント

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こちらはインクルーシブデザインを体現したようなプロダクト。
世界的に有名な制汗剤メーカーDegree Deodorantによって制作された、視覚障害とや上肢障害のある人々にとって使いやすいようにデザインされたデオドラントです。

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視力や腕の動きが制限されていると、デオドラントキャップをひねったり、スティックを回したり、スプレーを押したりすることが困難であるといいます。
Degree Deodorantは世界一の制汗剤メーカーとして、
「汗をかき、動きの変革の恩恵を享受することを誰もが妨げられるべきではない」
というメッセージと共に上記のプロダクトを発表しました。
自らの企業としての立ち位置から社会的メッセージと共にプロダクトを発表するソーシャルグッドな姿勢、見習っていかねばと背筋が伸びます。

こちらはSocial & Culture ImpactのWinnerとなっています。

■家庭ゴミから作る3DプリントUBQ Materials

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こちらは UBQ Materialsによって開発された世界初の廃棄物由来の3Dプリント用フィラメントです。同社は家庭廃棄物を熱可塑性プラスチックに変換する高度な変換技術を開発し特許を取得しています。これにより廃棄物は「無限に再生可能のマテリアル」と主張しています。夢がありますね。

実際にゴミの山からフィラメント素材となり、3Dプリンティングされる様子が動画で公開されているのでご覧ください!


■その他

・Xebec Tri Screen2

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Kickstarterでありそうなシンプルなアイデアガジェットの展示も。499ドル。普通に日本からでも購入できるようですのでご興味ある方はぜひ。スタバで圧倒的なマウントがとれるかと思います。

・The Future of Construction Robotics

TrimbleX7(レーザースキャナ)を積んだSPOT。自律型建設ロボティクスソリューションとして活用。
会場ではiPadの操作にて華麗なダンスを披露しており人気者でした。


Innovation Award全体の感想として、単なる技術の見本市ではないということを強く感じました。特に各ジャンルでWinnerとなったプロダクトには社会貢献やソーシャルグッド的な文脈が強く、メッセージ性のこもったものが多くありました。
イノベーション≠単なる技術の進化だということを再認識する、刺激たっぷりのInnovation Awardでした!