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小池太郎

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#自主制作映画

つくる理由

「なぜ、創作するのか」という問いへの返答。

・自分の個性を表現したいから
・作品をヒットさせて稼ぎたいから
・誰かに喜んで欲しいから

3つとも、真っ当な理由だ。

では、自分はどれに当てはまるだろう。
と、いうことを今回は書いてみます。

・自分の個性を表現したいから

周囲と違う自分を表現する。
それに喜びを感じるかといえば……あまり感じない。
むしろ「周りと同じような存在」への憧れのほうが

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撮影初日

撮影初日

翌日に、撮影1日目がやってくる。その不安と緊張が、私のまぶたが閉じるのを阻む。睡魔が近寄るたび、緊張というスポイトがそれを吸い取る。

午前五時。いまだ眠れぬ私は、就寝を諦め、家を出た。

寒波に肌をきりつかせながら、駅の改札にはいる。誰もいない、幽霊船のような電車内で、揺らめきながら過ぎ去る明朝の景色をみながら、ロケ地である北浜にたどり着いた。

改めて、動きを確認する。両手でハコをつくり

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演出プラン

演出プラン

11月15日、撮影初日。

天候にも恵まれ、取り残しは数シーン発生したものの、撮了カットはどれも満足のいくものだった。

演出プランというほど具体な策略ではないが、ひとつ重点があるとすれば、「キャラの表情を捉える」ことをテーマにしている。

綺麗な画や風景を目指すというよりは、キャストの演技を確実にカメラに納めることが大事。

演者が泣き笑うさまを、引きやぼかしで済ませるのではなく、レンズの中心に

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銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

撮影初日が終わって二日後。

梅田の人混みを左右に抜けていたとき、右脚に振動を感じた。

ポケットからスマホを引き出すと、ラインの着電。スライドして、耳を傾ける。

「いま、つきました」

その声に、私は相槌を打ってから、南口へ向かった。

「お待たせしました」

青年がふらっと私に近寄る。

「お疲れ様です」私は彼にそういって、軽くお辞儀をした。

渡邉望さん。本作でカメラマンを務める男性だ。

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慎重に映画を作ることに挑戦します

慎重に映画を作ることに挑戦します

映画づくりをしていると、一刻も早く撮影して、すぐに編集して公開したい衝動に駆られる。

しかし、それで挫折した企画を幾本も見てきたし、ピリついた現場に変貌した瞬間も何度も見ている。

それは監督にとって楽しくても、キャストやスタッフにとっては地獄である。

その時は手を貸してくれても、次の企画には来てくれないだろうし、来てくれたとしても嫌々でしかない。

本作「ナーストゥザフューチャー」はかなり余

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