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フィンランド

ベーシックレポート:幸福度ランキング世界一

世界幸福度ランキング2022年でも世界第一位


 フィンランドは、国連が毎年発表している幸福度に関するランキングで、2022年も世界一とされている。2023年のランキングは、2023年3月20日に発表される予定だが、おそらく世界一の座をキープするのではないかと予想している。
 フィンランドの国民がどの程度の幸福感を実際に持っているのかという点は、幸福度とか幸福感の定義によるところが大きいが、国連の基準は、数値化されているので、その基準に基づいて、世界一の数値を記録しているということになる。
 いずれにせよ、フィンランドは、世界幸福度ランキングで、世界一と評価されているのは事実である。基本的には、経済的な豊かさがベースとなって、国民生活が充実しているためだと考えられるが、本稿においては、その実態について、基礎的な内容を中心に考察してみたい。

フィンランドの基礎データ

 フィンランドは、2021年末時点で、国土面積33.8万㎢、総人口554.8万人となっている。国土面積は、日本よりやや小さく、人口は都市国家のシンガポール並みである。基本的には、小国と位置付けて良いだろう。地理的には、高緯度帯に位置するため、夏と冬の日照時間が大きく異なり、季節による寒暖差は大きい。長い冬は、非常に低温になる場合もあり、東京に居住する日本人から見れば、厳しい自然環境だと感じる。
 国家体制は、共和制で、元首は大統領である。議会は、任期4年、定員200名の1院制になっている。EUの加盟国であり、通貨はユーロである。
 冷戦期には、中立政策を採っていた。EU加盟後は、「軍事的非同盟」だが、NATOとの協力関係は維持してきた。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、NATO加盟を目指すようになり、加盟申請を行っている。ロシアとは国境を接しており、旧ソ連時代には、戦争となったこともある。ウクライナ戦争を受けて、ロシアの脅威を強く感じるのは、至極当然のことであろう。
 歴史的には、隣国、スウェーデンとの関係性も強い。公用語も、フィンランド語とスウェーデン語の2言語体制となっている。

主要経済データ


 フィンランドの名目GDPは、IMFの統計によれば、2021年時点で、2,988億ドルであった。また、一人当たりの名目GDPは、54,008ドルとなっており、世界的にも上位に位置付けられる。失業率は、7.7%ということで、比較的高めだが、1994年には16.6%まで達していたこともあり、長期的には低下してきた。ただ、2019年のコロナ前には、6.8%だったため、コロナの影響が残っている状態と解釈される。
 主要産業としては、紙・パルプ等、金属、機械、電気・電子機器、情報通信などが挙げられるが、中でも、NOKIAに代表される情報通信産業は、世界的にも知られている。また、近年は、ヨーロッパにおける、スタートアップベンチャーの集積地としても知られている。
 なお、ロシアによるウクライナ侵攻の影響は、軍事面のみならず、経済面でも懸念されている。インフレ率の上昇による、実質GDP成長率の低下などが予想されている。

高福祉、高負担国家である

 フィンランドは、普遍主義の原理を国家として採用している。そのため、GDPに占める社会保障費の比率が42.1%に達しており、国民の負担も大きくはなっている。2020年の社会保障支出の内訳は、疾病・保健22.1%、障害者支援9.1%、高齢者支援42.2%、家族及び子育て支援9.6%、失業対策7.0%となっており、高福祉の実現のために、国家財政が活用されている実情が伺える。
 結局、高福祉、高負担を国民的合意の下に実現しているということで、世界一幸福度が高いという評価につながっている面がある。ただし、実際に国民が、どの程度の幸福感を持っているのかという点に関しては、誰もが納得するような客観的基準を設けることが難しいこともあって、把握することが困難である。

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