火入れ(仕上げ乾燥)とは
お茶の味を決めるのに、一番重要だともいえるのが、この火入れの工程です。荒茶の段階では5%以下になっている水分含有率ですが、火入れをすることによって3%以下まで引き下げていきます。
荒茶の段階で残っている青臭みを取り除き、火香(火入れによってつく芳香)や甘さを引き出す為に仕上げがあります。お茶は実は含水率4~5%程度の方が保存が保ちます。なので、荒茶の状態で保存し、必要分だけを逐次仕上げしていくのです。とは言っても乾物。脱酸素状態で密閉されていれば美味しく飲むことは出来ます。変質はしますが、近年では熟成茶の研究も進んできているのでそのあたりも楽しみです。
火入れにはいくつかの方法があります。直火・遠赤外線・熱風などが主流でしょうか。焙炉炭火なども付加価値として耳にすることがあります。それぞれどんなやり方でしょう。
①直火
一般的にドラム式などとも謂われます。大きな金属のドラム(横型の円筒)をしたからバーナーで熱し、焦げ付かないように回転させながら熱を与えていきます。直に熱が伝わるので、しっかりとした火香がつきやすいですが、投入量によるムラと、焦げの可能性もあるので、熟練した技が必要です。
②遠赤外線
輻射熱を利用した火入れ方法です。表面温度が高くなる直火と比べて、内側から茶温を上げることが出来ます。比較的低温で火入れが出来ますが、火香をつけにくい方法でもあります。遠赤外線で温めてから直火でドラムに投入することもあります。
③熱風
温めた空気を棚の中で循環させ乾燥させる方法です。棚乾とも謂われます。棚の中には網の上に乗せられた茶があり、ムラを解消するために場所を入れ替えながら乾燥させていきます。焦げたり高温にはなりにくいですが、乾燥効率は悪いので時間がかかる上に一度に投入できる量も少ないものです。
上級茶、並級茶、下級茶などグレードで選択したり、品種や商品によって火入れ方法を変えていきます。上級茶は火香をつけないように仕上げることが主流ですので弱火でしっかりと。下級茶は火入れを強くすることで甘みを出し香りをつける傾向にあります。
いずれにせよ商品特製を見極めた上での作業が必要な上、やり直しがきかない工程でもあるので熟練した職人でないとなかなかやらせてもらえません。問屋の味を決める、大事な工程なんです。
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