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空芯手帳~High Jumpの読書記録~(ネタバレあり)

High Jumpの読書記録のコーナー!

今回読了したのはこちら!

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八木詠美先生の「空芯手帳」です!!

自分が大好きなYoutubeチャンネル「ほんタメ」の動画の中であかりんが紹介していた本です!​

「職場にキレて偽装妊娠。」

内容は上の通りです。会社の事務として働いている女性が、名前のない仕事(来客が来たときのお茶出しやその片付け、お菓子をいただいたときに部署の全員に配って回る、などなど)に嫌気がさし、ある日妊娠していることを宣言し、偽装妊娠がスタートします。その後その嘘を貫き通すために、さらに嘘を上塗りしていくお話です。

あかりんが男性と女性で感じ方が違うかもしれない、動画内で語っていて、普段なら手に取らない本なんですが、今回読んでみようと思って読んでみました。(ほんタメの醍醐味の一つでもあります)

先に全体の感想を述べると、偽装妊娠を宣言してしまう気持ちは分からなくないんですが、その後の主人公が偽装妊娠をしたことに関して、これで仕事から解放される、とせいせいして前向きになるでも、さすがにやり過ぎちゃったかなと罪悪感を感じるでもなく、本当に妊婦として当たり前に行動していく姿に、大丈夫かな、ともやもやして読後感が気持ち悪い感じで終わってしまいました。特に後半はえ?どうゆうこと?と疑問も多く残りました。ページ数は約180ページと短いのでスパっと読めるだろうと読み始めましたが、ページをめくる気になれず読了まで1週間ほどかかってしまいました。これが男性と女性の違いなんですかね(笑)

一番印象に残ったシーンは物語の後半で、妊婦仲間である細野さん(この方は実際に妊娠してます)が無事に子供を産み、幸せな生活を送っていると思いきや、旦那さんやまわりに対する不満をあるがままに主人公にぶつける場面です。(以下本文より抜粋)

「みんなそう言うのよ、かわいいでしょ、幸せね、目とか似ている。いや、似てないから!ずっと泣いてるから!落ち着いて顔とか見てられないから!まあ実家にいたときはちょっと思ったん、似てるかもって。うちのお母さんが抱いてるときとか横から見て。でもこっち帰ってきてからなによ。基本、泣いてる。ずっと泣いてる。いや、寝てるときもあるよ?細切れだけど結構寝てるよ?でもそんな時間あったら哺乳瓶洗わないといけないねん、乾かないから。それで家事。ほんま信じられん、みんなどうやってるん?超人なん?この子抱きながらたまりすぎる洗濯物干ししたり掃除してるん?ベッド置いたら即泣くのに?ほんまに背中にスイッチ入ってるみたいやわ。なによ、重力に逆らう気概も筋力もないのになんで横になるのそんなに嫌いなん?自分、前世で寝ているときに斬られたりでもしたん?まあそれはよろしい。この子はいいの。ゆりはいい。あ、ゆりっていうの。自由の由に、果物の梨で由梨。由梨は私なの。私の延長、私の分身。いつかはそうでなくなることぐらい知ってるけどさ、それでもいいの、宝物。しかしそれより夫よ。なによ、あれ。由梨が夜に泣くと夫が不機嫌になるん、明日早いのにって。いや、不機嫌になるならまだましか。不機嫌になるのを我慢してますって感じで不機嫌になるん。ほんま腹立つ。めっちゃいら立ってるのに我慢してます理解してますって風にしてくるん。本当に理解してるなら、なんで土日も何もやらん。どうして私は由梨を連れ出してこうして夜中に外に立ってるの。ため息つくなよ。おもむろにつくなよ。この前一回うまく寝かしつけられたからって調子に乗るなよ。アカチャンホンポで買い物してきてくれるって言うから汗取りパッドとか頼んだのに、全然まだ着られもしないでっかいサイズの服買ってきて、かわいい服買ってきた自慢してくるなよ。結局汗取りパッドないし。ああ!私も30分でいいからまとめて寝てみたいわ」
(中略)
「まあ、手伝ってくれたりはするんだけどさ、他人なんだよねやっぱり」
(中略)
「うん、結局旦那がしたことって出しただけ、射精しただけじゃない?後は私のお腹が勝手にふくらんで、吐いたり動けなくなったりしながら出産しているのを、ときどき励ましながら横から見ているだけで。立ち会いの時は泣いてたけど。自分が出した結果が人間の形になっただけなん。そりゃ性別上産めるのはこっちだけだってことは分かってるけど、でもそれならもう生まれたんだから、母乳出す以外は私と条件変わらないはずやん?父親になるまでの時間が欲しいとか今更のたまうけど10か月前からあんたは父親やん!何ぼーっと見てんの、社会見学かよ!俺は仕事あるからとか言うけど、私だって仕事あるねん、というかあったねん、そりゃあんたと比べて給料少ないかもしれないけど。でも育てなきゃいけないから育休なわけじゃない?別に今すぐそうしろとは言わないけど例えばあんたが育休とって、私が働くこととか1ミリでも考えたことある?あんたがオムツ一回替えたら、なんで私がこんなにありがたがらなきゃいけないん?私が疲れてるだろうな、とか考えたことある?考えた上で母親だから仕方ないと思ってるん?わかるんかいなこういう気持ち、夫は。20センチ先にいる夫が、ぐうぐう寝てる夫が、会ったこともない政治家よりも、ブラジルにいる、多分いる、道端の野良犬よりも他人に思えるねん。夫といる方が一人よりも孤独やねん」

このシーンの力強さには圧倒されました。まだまだ妊娠や出産には縁のない自分なので、出産ときくと、おめでとうとか、幸せそうだね、とか明るいイメージしか持っていませんでしたが、そのうらで女性がとても苦労していることを絶対に忘れてはいけないなと思いました。特に相手が自分の奥さんなら気持ちを理解して、理解するだけでなくその上で、行動をする。これが大切なんじゃないかなと思いました。男性にとっては責任を感じつつもどこかで他人のことだと考えてしまっていると思うので。これって車の運転と似てるなあと思います。一人で運転しているときと誰かを乗せているとき、預かっている命の数は数倍にもなり、安全にと気をつけはしますが、基本的には一人で運転しているときと同じように運転をしてしまいます。もちろん危ない運転はしませんが、常に命の重さを考えて運転はしないと思うので、そんな感じなのかなあと。結婚して子供ができる前に読めたことに感謝します。本当に。

女性はもとより、個人的には是非とも男性の皆さんに読んで欲しいなと思う一冊でした、何か刺さるものがあるはずです。

ではまた次回、バイバーイ


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