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マリアビートル~High Jumpの読書記録~(ネタバレあり)

High Jumpの読書記録のコーナー!!

今回読了したのは、こちら!!

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伊坂幸太郎先生の「マリアビートル」です!!

前回感想を記事にした「グラスホッパー」に続く、殺し屋シリーズの二作目です。二作目と言いましたが、本作だけ読んでも十分話は楽しめる内容になってます、しかし、前作と繋がっていることもあるため、あ、ここ、前と繋がってる、とニヤリとしたい方は前作にあたる「グラスホッパー」から読み始めることをオススメします。

以下に「グラスホッパー」の感想記事を載せておくので、興味のある方は覗いてみてください。

話の概要です。

元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線<はやて>に乗り込む。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。ツキのない殺し屋「七尾」。彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み__
物騒な男たちを乗せた東京発の新幹線は、北を目指して疾走する!
(帯より引用)

前回の「グラスホッパー」は主人公が「鈴木」、「鯨」、「蟬」の3人だったので、今回はさらに人数が増えています。さらにはこの4組以外にも、まだまだ殺し屋が車内に乗っているんです。とんでもないですよね(笑)話の舞台がずっと東北新幹線<はやて>の車両内という密閉された狭い空間なので、いつ交わるのかとハラハラドキドキしつつ、どこかで早く交わって欲しいとワクワクした気持ちもあるので、非常に楽しめました。またそれぞれの登場人物が非常に魅力的に描かれていて、きかんしゃトーマスが大好きな「檸檬」、怒ると小説の文を引用して話し出す「蜜柑」、何をするにもそうならないと良いなと思ったことがすべて起こってしまう「七尾」、逆にこうなると良いなと思ったことが全て起こる「王子」。個人的には「蜜柑」と一緒に仕事したいな、と思いつつも、やっぱり「七尾」が一番好きでした。てんとう虫の七尾君ですね(笑)

ただ、自分の考えや思考について、一石を投じてきた回数が多かったのは間違いなく「王子」でした。この中学生は、とても中学生とは思えない考えを持っていて、自分は24歳ながら、ほお、と思わせられることが多かったです。(もはや、それすらも王子の手のひらの上で転がされているんですよね(笑))ルワンダ内戦の話だったり、学級閉鎖、学習性無力感、オーケストラの拍手と携帯電話の普及率グラフの関係など、ただ考えていることをいうだけでなく、具体的な例を用いることで、相手を納得させる、それがとても上手いと感じました。

読了をして、印象に残ったセリフ、場面が山ほどあったので、絞るのが大変でしたが、1つ紹介して今回は終わりにしようと思います。

上に何をするにもそうならないと良いなと思ったことがすべて起こってしまうと紹介した「七尾」ですが、小学生の頃に金持ちの子供と間違われ、誘拐されたことがあり、その誘拐犯が、七尾の父親に金銭を要求するのですが、貧乏であった七尾の父親が誘拐犯に向かって言った一言です。

「『ない袖は振れない』」

ない袖は振れない。虚しいですけど本当にそうなんですよね。自分もいつも遊んだりしている友人たちと比べても、とても裕福とは言えない家庭で育ってきたので、気持ちが分かります。国立大に入学したのにもかかわらず、学費は自分のアルバイトで稼いだお金で払っています。それは親が厳しいからとかではなく、親自身「ない袖は振れない」からです。僕の周りではそんな友人を見たことがないので、わりかし貧乏なのではないかと思っています。じゃあ袖がない場合は泣き寝入りするしかないのか、といわれると自分はそうではないと思っています。袖がなくても、ないなりに綺麗に踊ることは可能ですし、いつか袖がついたときのために練習しておくこともできます。大事なのは今の自分にできることをすることなのです。袖がついてから練習を始めているようでは駄目で、それが「時間の無駄」何じゃないかなと思います。だってその時間は、今からでもできる時間なんだから。これは以前、同じ著者である伊坂幸太郎先生の「フィッシュストーリー」の感想記事で載せた瀬川さんが正義の味方を目指して行っていた準備にも繋がっているように感じました。「ない袖は振れない。しかし、袖がついたときに目一杯舞えるための準備はできる。」だと自分は思っています。

伊坂作品の醍醐味である、魅力的な登場人物が数多く登場し、とても面白い作品でした。個人的には伊坂作品トップ3に入ってくる面白さでした。
まだ読んでいない方は、是非前作である「グラスホッパー」から読むことをオススメします。
ではまた次回、バイバーイ

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