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身体の声 〜野球肘 編 vol.2〜


今回は野球肘Vol.2

今回は肘内側側副靱帯(MCL)損傷について。
結論から言うと、MCLは肘の中でも最も強力な靭帯なので、それが損傷したらヤバイよ〜って話です。

MCL損傷

肘のMCLは肘関節の外反を制御しており、特に前方繊維においては最も強靭で肘関節の外反ストレスに対する安定性と機能保持に関与する。

損傷メカニズムとしては

①投球動作で肘関節に外反ストレスが頻繁に繰り返される。↓MCLに牽引ストレス↓前方繊維の起始部や中央部での断裂をきたす
②MCLの起始部あるいは停止部で剥離骨折をきたす↓剥離骨折の異常可動性により、MCLの機能不全をきたす


主症状

・肘関節内側部に疼痛・投球動作(特に加速期)に強い痛み・外反ストレス時に疼痛 ※1・内側上顆部下端前面に圧痛 ※2

※1 疼痛誘発テストとしては肘外反ストレステスト
※2 前面とは前方繊維の事である

ケアや医療機関での治療

・剥離骨折を伴う靭帯断裂MCL起始部での骨端核の分離や剥離骨折ある症例で骨端線閉鎖の年齢(小学生高学年)においては4〜5週程度のギプス固定により内顆下端部の剥離骨折の骨癒合をはかる。中学・高校生以上の陳旧例では手術的治療により骨片の摘出と腱移植による靭帯再建を行う
・陳旧性の靭帯断裂に対して長掌筋腱を用いて靭帯再建を行う ※1靭帯起始部での断裂では、靭帯の遺残部を用いて内顆との間に腱移植による靭帯再建を行う

※1 長掌筋腱を採取して内果にあけた2つの骨トンネル内に移植腱を通し末梢はMCL遺残部の下を通して縫合固定する

・ケア局所の安静で目安としては2週間。この時期痛みの出ない部分、例えば下半身などのトレーニングは続ける。理学療法は、急性期はアイシング、慢性期では温水過流浴、超音波など効果的。運動療法は、0.5〜1kgのダンベルを用いてエクササイズ。筋力バランスを保つため手関節屈筋、伸筋群の両方をトレーニング。柔軟性の回復。


まとめ

前回も書いたが野球肘については、オーバーユースと投球動作が密接に関係しているなと感じる。小学生までと中学・高校時のケアや治療方法が違うのがポイントである。
運動療法で柔軟性の回復と書いたが手関節、肘関節、肩関節は勿論だが体全体の柔軟性としなやかさは必要になる。
手関節、肘関節のエクササイズだが最近色々な種目を見るが、まずは単体で手関節、肘関節を行いその後から全体との動きと連動させていくイメージ。
何度も言うが、オーバーユースの管理、投球動作の確認。
肘は大切に。

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