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【イベントレポート】nst#4「ニューノーマル時代のスタートアップ経営論~事業をドライブさせる組織と人財とは~」

 スタートアップ企業の「1→100」のために“出会い”と“学び”を提供する「nikkeisha start-up table」では、スタートアップ企業が成長期に抱える悩みや課題に応えるべく、さまざまなテーマの講座を開催しています。この活動は、社会の公器であるメディアグループの一員として、スタートアップ企業に“価値ある情報”を提供するとともに、時代を変えていく人たちが“正しい選択”をできるようにすることを目的とするものです。この活動にご共感いただける企業様は、ぜひご連絡ください!

 先日は、人財デューデリジェンスのリーディングカンパニーである株式会社プロモーションと共にオンライン講座を開催しました。講座では、「ニューノーマル時代のスタートアップ経営論~事業をドライブさせる組織と人財とは?~」をテーマに、前 富士ゼロックス 代表取締役社長で、現在は一般社団法人日本テレワーク協会 会長の栗原 博氏と、株式会社プロモーション 執行役員コンサルティングディレクターの山田 留美氏、お二人にお話しいただきました。今回は、それぞれの講演内容の一端をご紹介します。

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会社の“存在意義”を社内外に発信することが重要な時代(栗原 博氏)
 世界は半日ごとに変化し、加速度的にアップデートされています。Uber Eatsなどのフードデリバリーが伸長するなど、新たな生活様式も生まれました。この流れは一時的なものではなく、コロナ後も社会に受け入れられていくと考えています。これまでの時代は、変化の幅が小さかったため、AかBかという予測を立てることができましたが、変化の激しいニューノーマル時代においては、予測が難しく、新たにCも出てくるような世界になっています。そのため、企業が求める人材像にも変化が起きています。日本の多くの企業では、総合職の採用が一般的で、そつなくこなすジェネラリストタイプの人財が重宝されていましたが、これからはスペシャリストタイプの人財が求められていきます。つまり、仕事基準で採用する「ジョブ型雇用」へと移行していくのです。その結果、企業と社員の関係も変わります。これまでは、滅私奉公のように働く側と、その人財を雇う側ではっきり分かれていました。しかしながら、人に仕事を割り当てるのではなく、仕事に人を割り当てるようになる時代では、一人ひとりに求められる職務が変わるため、役割と成果で賃金が上下する報酬制度が導入されていきます。また、企業全体の仕事量が減れば、新卒一括採用の必要もなくなり、数ある人事制度の中から個人がどう選択していくかという「Work Life Choice」が重要となっていきます。一方で、変化しないこともあります。創業時の強い「想い」、「パッション」、「原点」を忘れてはいけません。企業の大小に関わらず、理念やビジョンは企業経営を支える非常に大事なものです。しかしながら、どうしても長い間事業をやっていると、均一性、同一性、一律といった企業文化が蔓延し、イノベーションの原点である理念やビジョンが曇ることがあります。また、経営者が企業の経営そのものに注力すると、理念やビジョンが横に置かれてしまい、企業が硬直化していくということも、経営する中で私自身も経験しました。答えを探すのではなく、創ることが求められるニューノーマル時代には、イノベーティブな企業文化が必要不可欠です。その源泉は理念であり、ビジョンになります。社長や役員など経営に携わる方々が、丁寧に、そして頻繁に、何度もメッセージを伝えていくことが、混沌とした複雑な現代においては非常に重要となります。人財の流動化により、優秀な人材を採用しやすい今の環境は、スタートアップ企業にとっては追い風です。そのような中で、理念やビジョンを繰り返し社内外に発信し、求心力を保つことが、スタートアップ経営を後押しするための人財確保にも繋がると考えます。言うのは簡単ですが、実践することが極めて重要ですので、ぜひ理念やビジョンを大事にして企業経営をしてください。

栗原氏プロフィール


成長するスタートアップ企業にこそ、人財の見極め力が必要(山田 留美氏)
 ニューノーマル時代は、スタートアップ企業にとって人財を獲得しやすい時代だと言われていますが、その一方で、しっかりと人財を見極める力が必要な時代とも言えます。人財の資質の中で、ビジネスにおける感性や勘所を「ビジネス資質」と私たちは呼んでいます。「ビジネス資質」は、行動量とアウトプットで定義することができます。行動量が少なく、アウトプットが大きい「1.リーダーシップタイプ」。行動量が多く、アウトプットが大きい「2.稼ぎ頭タイプ」。行動量が少なく、アウトプットが小さい「3.評論家タイプ」。行動量が多く、アウトプットが小さい「4.足手まといタイプ」。この4つに分けることができます。同じパフォーマンスをする人財でも、目の前の現象面だけに対応するタイプと、根本的な原因を考えてそこに対策を打つタイプとでは、現象の捉え方が違います。スタートアップ企業に当てはめるとわかりやすいのですが、ゼロベースで物事を捉え、仕組みをつくるようなビジネスの創造力が求められる役割は、リーダーシップタイプの方が多いです。一方で、顧客の獲得やビジネスを拡張することが求められる役割には、稼ぎ頭タイプが多く、リーダーが示した目標に対してやり切る強い意欲を持っています。しかしながら、企業のステージが上がるにつれて、このような独立心や情熱を持つ人財は減っていき、安定志向の人財が多くなる傾向にあります。その結果、企業内は均質化、同質化していってしまうのです。こうなると、組織は停滞し、ビジネスは衰退の一途を辿ります。これからの時代は、会社の規模に関わらず、人材面から客観的に経営が把握し、筋肉質な組織を維持していくことが重要になります。スタートアップ企業がぶつかる課題の多くは、組織・人財に関することが原因です。その解決策の1つとして、ビジネス資質を分析できるビジネス資質診断(ESP診断)の活用は、スタートアップ経営の強い武器となります。また、早い段階から人財の資質にこだわり、組織の最適な人財バランスを維持することは、事業をドライブさせるだけではなく、組織が陥りやすいリスクをコントロールすることにも繋がります。直感採用に再現性はありません。人財をしっかりと見極め、指標を持つことが重要です。持続的な成長を実現するために、ぜひ筋肉質な組織づくりをしていってください。

山田氏プロフィール


今後もスタートアップ企業に必要な情報を、講座形式でお届けしていきます。引き続き、nikkeisha start-up tableをよろしくお願いいたします。



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