メキシコで、たい焼き
「新しく、たい焼き屋さんができたんだよ」
上司がそう言った。
日本からの帰国後、社内の隔離期間を終えて、はじめて出社した日だった。
もちろん連れて行ってもらった。
経営者は日本人の方ということで、日本人から見て違和感のない作り。看板の文字や、メニューの日本語表記など、「?」なところはなし。
ただし、一点を除いて。
その一点とは、メニューの一番端に紛れ込んでいた「お好み焼き」なるもの。たい焼きの皮の中に、お好み焼きが入っているらしい。
もちろん注文した。
家に帰って、かじってみて、またびっくり。
具がピンク色だった。紅生姜の色だろうか。でも、味は確かにお好み焼き。ソースの味がほとんどしないのが、かえって皮との相性を良くしている。
たい焼き。メキシコ人のお客さんには、受け入れられるのだろうか。
コロナウイルスの影響で、日本人在住者は減少傾向だ。メキシコ人のファンがつかないと大変だろうな、などと勝手に考えた。
お好み焼きはメキシコでも専門店ができたりしていて、少しずつ認知されているみたいだから、地元の人を取り込むためのアイデアなのかも。
甘さ控えめで、豆の姿がちゃんと残っている粒あんのおいしさも、たくさんの人に受け入れられるといいな。
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