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『カイゼン・ジャーニー』を読んでみた

技術書にしては珍しい(?)小説っぽい語り口で、内容は「SIerで働く20代半ばの主人公がひとりでカイゼンを始めて、チームを巻き込み、さいごはチームの垣根も超えていく」という感じ。そして、下記に尽きます。

細かい内容はぶっちゃけあんまり覚えておらず、メモもあまりとってなかったので、印象になってしまいますが、文体は平易で一人称のため似たような職種であれば比較的感情移入や情景描写もしやすいです。
そして都度課題が現れ、それを主人公自ら、あるいは同僚や先輩や外部の人間などの助けを得ながら解決していきます。

ざっくり言うと、『カイゼン・ジャーニー』はプロジェクトの真っ只中にいる現場の人間がひとりではじめられるコトなのかな、と理解しました。
あと、自分が変わらないと周りも変えられないという感じだったかな、と。

スクラムを使ってカイゼンしていくので、それらにまつわるプラクティスや考え方が全体的に出てきます。また、覚えきれないくらい多種多様な人物が出てくるので、そういった人たちに対してどのように対処、適用していくのかといった工夫も見られます。ちなみに実話をもとにしたフィクションらしいです。

この本を読んでいたころ、チームメンバーに新人が加わった時期だったので、本書に出てきた『ドラッカー風エクササイズ』を実践してみました。「4つの質問を通じて、期待をすり合わせていく」という内容のものです。
ベテラン1人、ジュニア3人、新人2人のチームだったのですが、新人のことを知れただけでなく、ベテランやジュニアの人たちが何が得意で、何を大切にしていてどうやって貢献するかどういうふうに仕事をするか)というのを聞けて、「そんなことを考えていたんだなぁ」としみじみ感じたことははっきりと覚えています。
そして4つ目の質問が特に大事だと私は感じており、それは「チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?」というもので、これをチームメンバー間で共有して理解しあっていると、がっかりしてしまうことが減ると思うのです。
たとえば「君にはこういうことを期待してたのになぁ」という一方的な思い込みからくる落胆や失望といったものを失くせます。むしろ、互いに期待していることを表明できた結果、努力すべき方向性が明確になることが期待できるようになるかも知れません。

このような共通理解による期待値のすり合わせを期待マネジメントと呼ぶようです。もちろん、先述したこと以外でも期待マネジメントに含まれることはおおいにあるとは思います。ただ、私は少なくともそのように理解と解釈をしましたし、期待値をすり合わせるためには共通理解や相互理解というのは欠かせないと思っています。
ちなみに、他にも様々な取り組みが本書には記載されていますが、個人的には期待マネジメントというのがぶっ刺さっていたようで、その部分だけKindleのハイライト機能を使っていました。

総評としては、もう一度読みたい本、でした。

ありがちかな、とは思います。それから心境の変化としては、この本がきっかけでひとりで勉強会に参加するようにもなりました。

自分を少しでも良い方向に変えたいな、と思ったので。


たぶんよろこびます。よろです。