内藤新宿

風営法について考えます。X→https://twitter.com/nsbengo

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最近の記事

【AV新法】出演契約書の書式

AV新法において、出演者に対し交付または提供する出演契約書のひな形です。 使い方 「内容」欄を埋めます 「制作公表者記名または署名」欄を埋めます。記名とはテキスト入力すること、署名とは氏名を手書きすることです 出演者に署名してもらってください 出来上がった出演契約書を出演者に交付または提供します。交付とは紙を渡すこと、提供とはデータで送付することです ポイント1 iPadにダウンロードして保存すれば、画面上で署名できますし、画面上でテキスト入力もできます。 も

    • 【AV新法】説明書面の書式

      AV新法において、出演者に対し交付または提供する説明書面のひな形です。 紙を交付するよりも、LINEやメールにPDFを添付して提供した方が、説明書面を渡したことを証拠化しやすいでしょう。 説明書面に加えて、作品ごとに出演契約書も交付または提供してください。 (第1版 2024年2月4日作成) (第2版 2024年3月10日改訂) (第3版 2024年5月3日改訂)

      • AV新法における出演契約の解除

        AV新法における出演契約の解除について考えます。 ①任意解除 AV新法の規制を守ってアダルトビデオが制作された場合、出演者は、公表から1年間(2024年6月22日までに締結された契約については2年。AV新法附則3条1項)に限り、任意に、出演契約を解除できます(AV新法13条1項)。 ②「1ヶ月4ヶ月ルール」違反による解除 AV新法には「契約から撮影まで1ヶ月、撮影から公表(販売)まで4ヶ月」という規制(AV新法7条1項、9条。以下「1ヶ月4ヶ月ルール」とします。)があ

        • AV新法の「1ヶ月4ヶ月ルール」と刑事罰

          「1ヶ月4ヶ月ルール」違反は刑事罰に問えないように見える AV新法については、当初「契約から撮影まで1ヶ月、撮影から公表(販売)まで4ヶ月」という規制(AV新法7条1項、9条。以下「1ヶ月4ヶ月ルール」とします。)がメインと考えられていました。 しかし実は「1ヶ月4ヶ月ルール」より、①契約書と説明書面を交付すること(AV新法6条、5条1項)、および②契約書と説明書面の内容に虚偽がないこと(AV新法21条2号、1号)の2点の方が重要なようです。 なぜなら上記①②が守られて

        【AV新法】出演契約書の書式

          公務員が風俗で働くときに注意すべき2つのこと

          注意点その1 承認または許可一般職の公務員(以下、単に「公務員」とします。)が風俗で働くときには、承認または許可を得なければなりません。 例えば、国家公務員法には以下の規定があります。 風俗店との契約が業務委託であるなら国家公務員法103条が適用されるので人事院の承認が必要となり、風俗店との契約が雇用であるなら国家公務員法104条が適用されるので内閣総理大臣およびその職員の所轄庁の長の許可が必要です。 なお非常勤職員については、国家公務員法104条の規定は適用されないの

          公務員が風俗で働くときに注意すべき2つのこと

          デリヘル業者がレンタルルームを使用した営業を行い風営法違反とされた裁判例

          デリヘル(無店舗型性風俗特殊営業)の経営者が、隣接するレンタルルームの個室を使用して性的サービスを提供する営業を行い、風営法違反の禁止区域営業で有罪となった裁判例があります。 裁判例によると、判断基準は以下のとおりです。 デリヘル店とレンタルルームの位置関係・構造 出入口付近の外観 広告の態様 個室の利用料金についての取り決め・優遇措置 キャストの待機および客の受付・案内の仕組み レンタルルームの利用状況など この中で、特に4.は要注意です。 個室の利用料金は

          デリヘル業者がレンタルルームを使用した営業を行い風営法違反とされた裁判例

          メンズエステと店舗型ファッションヘルスの違いを判断した裁判例は見当たらない

          メンズエステ メンズエステは、通常のマッサージを行う店です。 店舗型ファッションヘルス 店舗型ファッションヘルスは、個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業です。風営法上の店舗型性風俗特殊営業にあたります。 風営法2条6項2号の文言中、「性的好奇心に応じて」とは、警察庁の通達によると「当該客の性的な感情に応えて」という趣旨です。 警察庁の通達は「性的好奇心に応じて」について、これ以上のことは述べていません。 争いに

          メンズエステと店舗型ファッションヘルスの違いを判断した裁判例は見当たらない

          メンエス店の摘発理由は無届営業ではなくなぜ禁止区域営業なのか

          無届営業 メンズエステ店が個室を設けて性的サービスを行う場合、店舗型性風俗特殊営業に該当するので、風営法上の届出をしなければなりません。 無届で営業をすると、刑事罰の罰則があります。 禁止区域営業 メンズエステ店が個室を設けて性的サービスを行うと店舗型性風俗特殊営業に該当するところ、店舗型性風俗特殊営業は禁止区域で営業することはできません。 禁止区域営業をすると、刑事罰の罰則があります。 無届営業の法定刑より禁止区域営業の法定刑の方が重い メンズエステ店が個室を

          メンエス店の摘発理由は無届営業ではなくなぜ禁止区域営業なのか

          AV出演契約書に記載する事項

          アダルトビデオ・成人向け個人撮影動画・同人AVの出演契約書に記載する事項について、AV新法4条3項が定めています。 条文にしたがい、以下の各記載が必要です。 ①契約当事者 制作公表者および出演者の氏名または名称その他制作公表者および出演者を特定するために必要な事項(AV新法4条3項柱書前段) ②契約日時と契約場所 当該出演契約の締結の日時および場所(AV新法4条3項柱書後段) ③アダルトビデオに出演すること 当該出演者が性行為映像制作物への出演をすること(AV新

          AV出演契約書に記載する事項

          ソープランド開業資金を融資した信金の支店長を売春防止法違反とした裁判例

          「場所の提供」と「資金等の提供」の禁止 売春防止法11条2項は「売春を行う場所を提供すること」を業とすることを禁止しています。 売春防止法13条1項は、情を知って、売春防止法11条2項の業に要する資金を提供することを禁止しています。 ソープランド開業資金1000万円の貸付 被告人は、信用金庫の神戸駅前支店の支店長でした。 被告人は、昭和62年3月25日、神戸市福原地区の個室付浴場業者に対し、ソープランドの開業資金として1000万円を貸し付けました。 「情を知って」

          ソープランド開業資金を融資した信金の支店長を売春防止法違反とした裁判例

          AV新法を一言で説明します

          AV新法とは、 出演契約から撮影までは1ヶ月必要であり、撮影から公表までは4ヶ月必要である と定める法律です。 出演契約から撮影まで1ヶ月必要と定めているのはAV新法7条1項です。 撮影から公表まで4ヶ月必要と定めているのはAV新法9条です。 AV新法により、出演契約から公表までは、最低でも1+4で5ヶ月かかることになります。

          AV新法を一言で説明します

          デリヘルの利用が離婚事由としての不貞行為に当たらないとされた裁判例

          民法上、不貞行為は離婚事由です。 デリヘルを利用して性的サービスを受けたことが、離婚事由としての不貞行為に当たるか否かが問題になります。 この点について判断を示したのが、横浜家庭裁判所平成31年3月27日判決(事件番号 平30(家ホ)6号)です。 認定事実 判決では、夫である被告について、以下の事実が認定されています。 それぞれ異なるデリヘル業者に計8回電話をかけた デリヘルの性的サービスを1回受けた 夫は発覚当初から妻に謝罪した 夫は今後利用しない旨を約束し

          デリヘルの利用が離婚事由としての不貞行為に当たらないとされた裁判例

          ピンクサロンで客の男が公然わいせつで逮捕

          ピンクサロンで客の男が公然わいせつ容疑で逮捕されました。 公然わいせつは社会的法益に対する罪公然わいせつ罪を規定している条文は刑法174条です。 公然わいせつ罪は健全な性秩序や性的風俗を保護法益とするものであり、社会的法益に対する罪です。 本件のように、ピンクサロンで公然とわいせつな行為をした場合、店側だけでなく客も逮捕されることがあります。 売春防止法との対比売春防止法では売春をすることが禁止されており、売春の相手方となることも禁止されています。 売春防止法3条に

          ピンクサロンで客の男が公然わいせつで逮捕

          警察庁がAV問題の通達でSNSを利用したスカウト行為の検挙に言及

          警察庁は令和4年6月22日付で通達「アダルトビデオ出演被害問題に係る対策の推進について」(以下「新通達」とします。)を発表しました。 新通達は、令和4年3月24日付の通達「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について」(以下「旧通達」とします。「出演被害問題」と「出演強要問題」とで通達名に違いがあります。)をわずか3ヶ月足らずで改訂するものです。 AV新法、すなわち、「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止

          警察庁がAV問題の通達でSNSを利用したスカウト行為の検挙に言及

          客の接待と風営法違反の無許可営業

          赤羽の飲食店経営者らが従業員に客の接待をさせ、風営法違反の無許可営業容疑で逮捕されました。 接待とはここで問題となっている「接待」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)2条3項が定める接待です。 警察庁の通達(「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」令和4年4月1日付)によると、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」(風営法2条3項)の意味は下記のとおりです。 本件では、飲食店において女性従業員が客

          客の接待と風営法違反の無許可営業

          飲食店への客引きが風営法違反で逮捕

          飲食店への入店を誘った疑いで、飲食店経営者ら17人が逮捕されました。これは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)違反の客引き容疑です。 客引きの禁止風営法では、客引きが禁止されています。 風営法22条1項1号または2号に違反して客引きをした場合の罰則は「6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」です(風営法52条1号)。 客引き禁止規定の飲食店営業を営む者への準用風営法22条1項1号および2号の客引き禁止は「風俗営業を営む者」

          飲食店への客引きが風営法違反で逮捕