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5年目看護師が特定行為研修を受けてみた

久しぶりの投稿になります。

はじめまして。
私は、地方大学病院にて(現在)6年目の手術室看護師です。

表題のとおり、昨年特定行為研修を終了しました。
分野は「術中麻酔管理パッケージ」です。

まだまだ、特定行為看護師に対する認識が広まっていない現状もあり、研修に関しても「実際のところどうなのか?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

私も同じで、この研修を受講する前には、研修そのものや修了後の働き方についてイメージできず、悩んでいました。

そのもやもやについては、2年前に記事にしておりますので、興味のある方はこちらも御覧ください。

では、私が受講した特定行為研修についてお話していきます。

術中麻酔管理パッケージについて

そもそも特定行為とは、医師の指示の下、手順書をもとに専門的な知識に基づいて行える医行為のことです。これは、38行為もあります。

その中でも、手術患者に実施することを想定した特定行為を集めて、一気に取得できるのがこのパッケージというわけです。

ちなみに、こうした領域別パッケージ研修は6領域あり、在宅・慢性領域や救急領域などに分けられています。

術中麻酔管理パッケージについては、以下の行為が取得できます。
(受講する大学等で異なる場合があります)

  1. 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整

  2. 侵襲的陽圧換気の設定の変更

  3. 人工呼吸器からの離脱

  4. 直接動脈穿刺法による採血

  5. 頭骨動脈ラインの確保

  6. 脱水症状に対する輸液による補正

  7. 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整

  8. 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整


研修日程

ざっくりこんな感じ

4月に入学式があり、それから7月中旬までは共通科目のeラーニングをひたすら受講。7月末に共通科目に関するテストがあり、それ以降は区分別科目のeラーニングをさらに受講。動画講義ばかりで心底嫌になる期間です。

それが終わると、10月に対面授業。授業は大学院課程の認定・専門看護師を目指す方たちと一緒に受けるものも多々あり、刺激になります。また、Aライン挿入やガス採血などの実技演習、フィジカルアセスメントを問われる模擬面接など、内容は結構盛りだくさんでした。

11月になるといよいよ病院実習でした。与えられた期間は1ヶ月。1行為あたり5症例のレポートが義務付けられており、計40症例分のレポートを書きまくります。

病院実習が終われば、レポート提出して終わり!という流れです。

地獄の動画視聴

特定行為研修で一番きついのはこれ!
共感してくれる人は多いと思います。

とにかく視聴しなくてはいけない動画が多いです。
正確には覚えていないですが、共通科目で230時間ほどだったと思います。

実際に使っていた受講計画表

私は、勤務しながらこれらの動画講義を受講していたため、毎日の受講時間の確保に大変苦労しました。

仕事で疲れていても、明日当直でも、とりあえず毎日3時間分は見る。そんな生活が続くと、いつのまにか疲労とドライアイが当たり前になってました。

時にはさぼっちゃうこともあって、そうなるとテストまでに視聴が終わらないことになるので、休日にまとめて視聴する、なんてこともありました。

裏話ですが、受験の面談で「動画講義を受講する覚悟はあるか?」みたいなことを聞かれたのですが、こういうことか・・・と後で納得しました。

特定行為研修は半分がeラーニングですので、これを乗り切るためにまず努力が必要です。

ちょっとだけ、私の工夫を紹介します。

  • 授業ノートはとらない(ノート書いていたらきりが無い)

  • 内容覚えれなくても大丈夫(そもそも量が膨大すぎて無理)

  • 7月のテストは動画講義1つずつについている確認テストからでるので、確認テスト内容を復習しておけばなんとかなる

  • できれば大きな画面でみるべし(スマホは目が疲れる)

  • IOS系だと再生速度を早送りできるが、自己責任で

授業ノートについては、最初全部書いておぼえよーと思っていたのですが、無謀でした。無理でした。

実際、しっかりと机にむかって動画講義を見る時間がなかなか取れないので、通勤中や仕事の休憩中など、スキマ時間を上手く使う必要があります。

もし、あなたの病院が研修期間を出張扱いとしてくれるならば、喜んで利用しましょう。動画講義を甘く見ると、大変です。

対面授業は結構たのしい

動画講義から開放された10月は、人とふれあいながら授業が受けれて、なぜか幸せな気持ちになります。そして、動画講義の辛さを共感できる仲間を手に入れるでしょう。

授業内容は様々ですが、それぞれにオスキーが控えているので気が抜けません。各行為ごとに、実際に医師から指導をしてもらえるので、これまでの研修にない緊張感と充実感がありました。

大変ですが、一緒に協力できる仲間がいれば、それもまたいい思い出になるかもしれません。

病院実習は手探り

私は、自身の勤務している病院で実習ができたため、人間関係などにあまり気遣うことなく、スムーズに実習に望むことができました。

ただ、症例を見つけてきたり、医師に頼んで監督してもらいながら実践したり、結構主体的に動かなければならないので、行動力が必要です。

また、レポートの量が多い。先に書きましたが、全部で40症例のレポートを書かなければならず、午前中は実習、午後はレポート作成、といったスケジュールを延々と繰り返していました。

レポートはこれまた手探りで作成するしかなく、最初軌道にのるまではずいぶん苦労しました。

Aライン挿入やAガス採取など実技的なことは実際に行って評価されるのですが、輸液の調整などはアセスメント力が問われるのでレポートでいかにアセスメントを展開するかが毎回頭を悩ませました。

そしてなにより、10月は仲間と一緒に頑張ってきていたけれども、病院実習は一人で取り組む孤独なものであったため、それもまたメンタルにくる大変な作業でした。

実習中盤には、手が腱鞘炎になりかけているほどだったので、こちらも楽な実習ではありませんが、普段の業務では絶対に経験できない学びを得られる期間でした。

修了後の現在

無事研修を終了し、本年度より特定行為看護師になりました。
現在は、手術室で週1日麻酔管理を担当しています。

今のところ定期的な活動ができていて、私自身充実した仕事ができていると感じています。実際の業務などについては、また別の記事にしますね。

私自身の特定行為研修を受けた体験について紹介させていただきました。

この記事が、これから特定行為研修を受ける方にとって少しでも参考になれば幸いです。

尚、本記事の内容についてはあくまで研修の個人的な感想を述べたものですので、研修内容などについては改めて調べていただくことを強くおすすめします。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。


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