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投稿者註)ずいぶんと日が開きました。 午後の収穫は、午前中よりも少なかった。寒さのせい…
「いやー、なんかまじすみませんね~」直嶋の背後から、そう笑いながら言う大林の声が聞こえる…
「時間、半までだっけ」 スマホを使って、周囲に散らばっている新歓係(しんかんがかり)の二…
注)本文中の()内は、初出における、直前の語のルビ標記です。 意味があります。 こ…
前回、「遠景」掲載後にこのようなエッセーを上げたので、その慣例に従って。 写真は、写…
それでも、二人ともカメラのことを意識しているのがわかる。二人ともカメラの方は向かないに…
「え、ちょっと、続けんの?」 ずっと息を殺して動いていたからだろう、そう言う近藤の声は喉に絡まって前半がうまく発音されなかった。僕と山崎さんは思わずまた笑って、視線を交わした。 「ちょっと待って、あんま見られると恥ずかしい」 そう言って彼女は脇にあったタオルケットの端で自分の胸を隠した。また視線を自分に覆いかぶさる近藤に戻す。そして「続けて?」と、いかにもそれっぽい表情で首をかしげて近藤にささやく。 「いや、AVかよ!」笑いながら近藤はそうツッコミを入れて山崎さんか
そんな近藤・山崎カップルを前にして、僕は漠然と、ではなく、かなり明確に、畏敬、にも近い…
作者註)初出は、春の学園祭で販売された文芸同人誌『駒場文学』新歓号です。 似た者同…
写真は本日の本郷キャンパス、法文一・二号館。絵になるので。 蝉が鳴き始めていました。 ま…
(ひそめた声で)「はい! 武村です」 「武村君、上野です」 「あ、どうも、ご無沙汰してお…
しばらくすると、その司書は白い、長細い冊子を持ってやってきた。それは、老人が期待してい…
https://m.youtube.com/watch?v=1QZfK9O3wOM 「すみません。起きてください。すみません」 …
老人が今夜見る夢でも娘は生きているだろう。彼は最近、若かったころの夢をよく見る。それは、まだ妻が生きているばかりでなく、もっと昔、一家団欒のころの夢だ。まだ娘は生きていた。彼女にまつわる何かを思い出すという行為が、もうほとんど意味を持たないようになってから、何年が経っただろうか。限りなく繰り返されたということだけでなく、繰り返したその日々も共に折り重なって、老人には、もはや改めて意味を考えることは難しかった。確かにそれは起きたのであり、そのことそのものにおいては、もう何も起