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なぜ、専門家が専門家を紹介するのでしょうか

昨日書いた内容にあるような、専門家が専門家を紹介するということは、どのような理由からでしょうか。なぜ、と思う方も多いのではないでしょうか。その理由は、労働問題が他の法律と、その内容において大きな違いがあるからです。

カテゴリーでいえば、労働問題は、いわゆる企業法務に属することになりますが、労働法や労働基準法といった法律関係をベースしています。この分野は、その対応がかなり複雑でやっかいなところでもあり、弁護士の中には、この分野に絞った対応をされている方もおり、事務所においても労働分野に特化したところがあります。もちろん、総合法律事務所と名乗っておられるようなところは、労働問題も取り扱っています。

問題は、企業内において労働問題が発生したときに適切に対応できる専門知識を有し、実務においてたけているかどうかです。
とくに不当解雇における訴訟などでは、専門性がなければ対応できないことがあり、私が在籍していた企業では、在籍前に争われた解雇無効の訴訟において完全敗訴していました。私は入社後、その原因を分析していましたが、問題のポイントのひとつが弁護士でした。この方は、労働関係の専門的な知識がなく、無謀にも不当解雇訴訟の担当をしていたようです。専門的な知識がありませんから、準備段階から問題が山積していました。
この企業の顧問弁護士をされている方の事務所に依頼していたようですが、そもそもほとんど対応できないくらい労働関係の専門知識がない弁護士でした。また、業務上横領事件も担当されていましたが、実務経験がなかったのでしょうか、告訴状も警察で受理されておらず、なんのために依頼したのか、私は理解に苦しみました。

弁護士だからなんでも対応できるかといえば、なかには対応できる方もいるのかもわかりませんが、だいたい弁護士の方は、それぞれの専門分野をもたれていることが多かったように思います。
私に労働専門弁護士を紹介してくれた顧問弁護士は、「私は労働関係はまったわからないので、この方を紹介するのですぐに訪問して」と紹介状を書いてくれました。その足で労働専門弁護士を訪問しました。

このように弁護士の方でも、自分でやれない分野は、他の弁護士を紹介するといった謙虚な姿勢をもたれています。また、このような謙虚な姿勢で仕事をされておられる弁護士は、その他の分野、自分の専門分野ではきちんとした仕事をされます。いわば「無知の知」でしょうか。自分が知らいない専門分野を知っているといことでしょう。私は、このよう方から仕事の進め方を学び、私自身も仕事に向き合うときには慎重であり、むやみにわかったふりをしません。むしろ経営者へは、専門家(弁護士や公認会計士など)と相談させてください、と話すことが多かったと思います。
その結果、私が専門家と相談することを認めてくれる経営者の企業は順調に成長しましたが、反対に、経営者がわが社の顧問弁護士(専門性がない方)へ依頼しなさい、と指示された企業は、倒産してなくなりました。
経営者が専門性をどのように考えているかは、担当者が経営者へ相談すれば、すぐに判明します。

担当者は、専門性を受け入れることができない経営者に出会ったときには、将来性がないと、考えておいたほうがよいでしょう。
ビジネスでは、必ず専門性が問われる場面があります。その場面で企業におけるリスクをどのように判断しているか、経営者の姿勢にすべて現れてきます。厳しいですが、それがビジネスの現実です。

【お詫び】
2024年1月4日に掲載しましたが、誤って削除したようです。再度公開させていただきました。

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