寝坊

 目が覚めて、いつもどおりに時計を確認する。外の光がカーテンの間から差し込んでいた。

『10:38』

 完全に寝坊した。8時半から予定が入っていたのに。何故かスマホには何も連絡がない。

 どうしよう? 布団の中で考える。

 目が覚めた。寝坊したのは夢だったようだ。少しホッとしながら、改めて時計を確認する。

『8:12』

 やっぱり寝坊していた。

 昨晩は酷く頭が痛かったことだし、体調不良ということにしようか。緑色のアイコンを指先で小突いた。

「体調が優れないのでリスケさせてください」

 これでよし。暖かい布団に潜り込んで、二度寝をすることにした。

 目が覚めた。先程のも夢だったようだ。外はまだ暗い。空気も冷たそうだ。

 どうしろというんだ。時計を見る気にもなれずに、布団を被る。部屋の中はひどく静かで、そういえば、傍らで寝ているはずの愛犬の姿がない。

 これも夢だ。朝から予定がある日の前日は、だいたい寝坊する夢を見る。

 目が覚める。外は真っ暗で、布団の外が冷たい。念の為、時計を確認する。

『2:26』

 早起きしすぎたな、なんて考えながら、灰色の天井を眺めた。


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