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2022年度カリキュラム化プロジェクト@帝京平成大学 開催報告!

8月8日~8月12日にカリキュラム化プロジェクトを帝京平成大学にて実施しました!

本記事はその開催報告です。
(当日の様子は公式TwitterにUPしております。今後も更新していきますのでぜひご覧ください。)
5日間の講義を通して学生は何を学び、どのように成長したのでしょうか?


1日目 地域で生きる、地域で支える

講義は「障がいって何?」を考えてもらうことから始まります。
学生からは
「 体が思うように動かないこと、介助者がサポートしないと生活できないことが多い。」
「 一人での生活が難しい。人の手が必要。」
「 自分の思うように行動できないこと。」等の意見がありました。
5日間でどのように変化するのでしょう?

地域を支えるアイテム紹介では当団体代表の岡部の体を使って体験です。
吸引や胃ろう、アンビューバッグ、そして排痰補助装置(カフアシスト)まで!介助者が手を添えて実践しました。

吸引を実演しているところ

後半は、地域で暮らす当事者の暮らしについてです。
「自分が重度の障がいを持ったら?」という視点で地域の生活を覗いていきました。地域で暮らす上での様々な困難についても学びます。

学生の感想:
「障がい者は生きにくいと思っていたけど、自分のやりたいことをやっている姿がかっこいい。」「制度とか整っていないところもあったけど、ある制度の中で活用して色々やれていることがすごいと思った。」


2日目 医療・介助の視点で覗いてみよう、コミュニケーション支援

2日目は重度の身体障がいを持つ当事者の生活を支える介助者について取り上げます。「その人らしく生きる」を支える介助者の視点、また、医療者として当事者にどのように関わるか、そのスタンスを伝えました。

介助者の視点を知り「一人ひとりの違いに合わせた介助が必要」「介護と介助が違うというのが驚きだった!対象者が何をしたいかを尊重するのが大切だとわかった」という感想を言ってくれました。

後半は「最近眠れない・・」と悩む当事者のお悩み解決(事例検討)です!

「スマホやパソコンのし過ぎではないか?」
「呼吸器の設定があっていないのではないか?」
「介助者の方に夜の状況を聞いてみたい」

みんな1,2日の講義の内容を踏まえて、そして何より当事者の話を聞くことを中心にして様々なことを考えてくれました。考える引き出しを増やす練習バッチりですね!
様々な大切な視点に気づけたのではないでしょうか?

コミュニケーション体験

透明文字盤の体験中

意思伝達に障がいがある人を支えるコミュニケーションについてです。
透明文字盤は実際に体験してもらいましたが、みんなすぐにマスターしていました。

学生の一人が岡部さんを相手に透明文字盤を体験!
「好きなお酒はなんですか?」の質問に
「日本酒、でなくてウイスキーです。」との返答。
よく読み取れました!


3日目、4日目 見学体験

本カリキュラム一番の醍醐味ともいえる、当事者宅での見学・体験です。
訪問前にはそれぞれ当事者の方へ質問したいことを考え、また、当事者の皆様には学生に取り組んで欲しいmissionを考えていただきました。
※見学体験の様子はSNSにてまとめてお伝えする予定ですので、そちらをご覧になってください。

酒井さん宅にて視線を使ったコミュニケーション
阿保さん宅にて質問しているところ
高野さん宅で透明文字盤を実施
吉沢さんの手動車椅子に乗せてもらい車椅子体験


5日目 「障がい」について考えよう

最終日は
「障がいは周りの環境や社会によってつくられている」
障がいの社会モデルという新たな視点を学びます。

まずは、見学・体験談をグループ内で共有しました。4班に分かれての実施で、各グループにファシリテーターがついていましたが、ファシリテートの必要がないくらい体験談があふれ出る時間でした。

続いては自分自身のこれまでの経験から、自分も障害を経験してきたのでは?を考えます。
個人ではなくて大きなくくりで社会から捉えられる事によって障害が生まれてしまうのでは?という示唆が得られたようでした。

最後にすべての講義、体験を通して得た気付きを他の学生と話し合い「障がいって何?」についての当たり前の見方を変えて、さらに考えを深めます。

最終発表会

発表会の様子

一日目に考えた障害と5日目に考えた障害には結構違いがあった。早起きが苦手とか、片付けが苦手なのも個性といえる。そういうことも個性だと思って補って助けることが大事。
地域で当事者が自由に生きている様子が印象的だった。

発表会での学生の発言

当事者の方の言葉

来てくれた二人が、すごくたくさん質問をいっぱい考えてきていて、電車に乗ったり、段差を乗り越えたり本当にいろんなことを2日間にギュッと詰め込んでやってもらいました。地域一人暮らし20年ですけど、初心に戻る事ができました。私も障害ってなんだろうって一緒に考えました。参加できて私も嬉しかったです。

ご協力いただいた当事者 朝霧さんの言葉

発表で障害のある人のイメージが自由に生きているよね、って話してくれたました。自分らしい生活には介助者の存在が必要不可欠だということを体験で感じてくれたら嬉しいです。

ご協力いただいた当事者 内山さんの言葉

最終発表会(つづき)

障害があるからこそ、できる仕事もあるから個性とも捉えられる。それが障害になるかどうかは周りのサポートや環境次第。
人を障がい者や、男性、女性とかの大きなくくりで捉えるとそこから外れた人がでてしまう。その人の個性を見ることが大事。
個人を見るためには多くの人に知ってもらうということが大切なのではないかと思った。
当事者と一般の人では障害の理解に差がある、この差が障害につながっている。自分が意思疎通をできないときに障害につながっている。

発表会での学生の発言

当事者の言葉

障害があってもなくても、相手の話を聞かなくなってしまっては関係性は生まれないなと想います。数年前の津久井やまゆり園の事件では、コミュニケーションを取れない人を殺してしまうという、大変な結果を生みました。犯人はその人とコミュニケーションが取れない、じゃなくてコミュニケーションを取ろうとしたのでしょうか?コミュニケーションは障害の社会モデルの大きいところを締めている用に思います。周りがコミュニケーションを取ろうとしているかどうかが大事です。

ご協力いただいた当事者 小田さんの言葉

みなさんが実際に働いたときに、高校生ぐらいの障害を持つ子に、「地域で暮らしている人もいるよ」と伝えることができたら一人の人生を左右するような5日間になると思う。この授業があったことを頭の片隅においてくれると嬉しい。

本カリキュラム講師 長田の言葉

何でもやろうと思えば、私達のような最重度の障がい者だってできるということを先輩患者に言われました。大抵のことは支援者がいればできる。気持ちや意思次第なのだということを教えられました。
登録されているだけでも障害者は900万人が存在しています。この中で一体、重度の障がい者のどれだけが在宅で暮らしているでしょう? 重度の定義をどれくらいにするかによって違ってしまいますが、数%です。介助者がいれば、その人数が増えると思います。自分らしく生きられる人が増えます。どうぞ皆さんこれからも介助に携わってください。

当団体代表 岡部の言葉


最後に

今回の講義も参加された学生からは、体験をすることによって障害の見方が変わった、実際に学生ヘルパーをやってみたい等、5日間という短い間でも大きな変化を見ることができました。
この講義が医療者として地域社会で働く際の自分の姿勢を考えるきっかけになると嬉しいです。

本カリキュラムにご参加頂いた学生の皆様、ご協力いただいた先生方、
そしてなにより、このような時期に学生を受けれいてくださった地域で暮らす当事者の皆様、介助者の皆様に感謝申し上げます。


本プロジェクトは日本財団の助成を受けて実施しています。


お問い合わせ

カリキュラム化プロジェクトやその他当団体の活動に関してご質問などある方は以下よりご連絡ください。

info@sakaiwokoete.jp

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