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「更生」とは何か―NPO法人マザーハウス会報「たより」2023年5月号Pick Up

NPO法人マザーハウスは、受刑者・出所者の社会復帰支援をする団体です。私たちは会報誌「たより」を毎月発行しています。

塀の中の受刑者から寄せられた手紙(便り)や絵、社会にいる私たちから送りたいメッセージなどを掲載しています。今回は2023年5月号の内容をご紹介します。

記事紹介「西鉄バスジャック事件の時、犯人の少年に『牛刀』で切りつけられた被害者が語ったあまりに『意外な想い』」

今月号のたよりには、「現代ビジネス」から下記の記事を転載しています。なお許諾は得ています。

2000年5月3日、ゴールデンウィークの最中、佐賀発福岡行きの高速バスが17歳の少年に乗っ取られ、1人が死亡、2人の負傷者を出した。薄暗いバスの中、鋭く光る刃渡り30センチの牛刀を持って歩く犯人の映像は、日本中を恐怖に陥れた「西鉄バスジャック事件」である。
家庭の中にも外にも居場所を見つけられず、犯罪によって怒りを社会にぶつける若者による事件はその後も続いている。
本件の被害者でありながら、加害少年と対峙した山口由美子さんに話を伺った。

https://gendai.media/articles/-/109682

この記事を読んで、みなさんはどのようなことを思いましたか?

自分の痛みと共に相手の痛みも感じ取ってもらえたらと思います。そして自分にとって償いとは何であるか考えてみてほしいです。考えることが大切であると思います。みなさんからの感想をお送り頂ければ幸いです。

「塀の中のたより」~受刑者からの手紙~

受刑者から私たちのもとに届いた手紙のうち一部を抜粋してご紹介します。なお本人の許諾を得て掲載しています。

更生とは何の事を言っているのか、どのような状態で更生したと言えるのか、本音を言うと、その事について最近分からなくなってきました。(中略)加害者の立場からすると、それはやらなければいけない「義務」であり、その当たり前の事をするだけ、考えるだけで更生したと言えるのかと、私はそういう悩みを抱えています。(中略)ちなみに、私なりに今一番大事にしているのは、「素直」、「正直」、「忘れない事」です。

O刑 ドクターKさん

マザーハウスのフランシスコ事業部の存在について、みなさんはどの様に心の存在価値として受け入れているでしょうか。私は、なくてはならないとても大切な存在として受け止めています。
※マザーハウスのフランシスコ事業部では、受刑者の方の学習環境や読書環境の支援のため、書籍の検索及び購入(主に中古本の購入)代行をしています。

T刑Kさん

マザーハウス理事長の五十嵐さんと初めて会った日、正直僕の心は殺伐としていて毎日がどうでも良かったし、腹が立ったら暴れて終わりの日々でした。でも、2回目の閉居30日が終わった時、その間に届いていた手紙やたよりが手元に入って、「俺の為に動いてくれている人がいる」と思いました。(中略)ここいると本当に理不尽な事ばかりで、納得のいかないことの方が多いけど、それでもマザーハウスたよりを読んでいると他の受刑者の人も大なり小なり耐えて過ごしているんだと思うと、僕もみんなに負けないよう頑張ろうと思えます

エイルさん

元受刑者による特別講義 学生たちが感じたこと

理事長の五十嵐が大学で講演した際に学生の皆さんから寄せられた感想のご紹介です。

周りの人を大切にして幸せにするためには自分の幸せも大事であるということに今回の講義を通して気づくことができました。

誰にでも加害性はあり、同じ人間であることに変わりはないし、勝手に線を引いて違う人間だと決めつけてはいけないなと思いました。(中略)改心しようと、本人が変わろうと強く思うことと、それを認める、サポートできる社会がなければ更生なんてできないという話を聞き、本当にそうだなと思いました。人は、1人では生きていけないし、それは私たちも受刑者も同じこと、だからこそ認め合って支え合って、気持ちを理解しあうことが大事なのだと感じました。

非行や犯罪に手を出す人を一方的に責めてはいけないし、多くの人がしてしまいがちな元受刑者に対して距離を取るようなことは絶対にしてはいけないと思いました。これは加害者が行ったことを容認しているのではありません。しかし、犯罪に手を出す人を生み出してしまっているのは我々人間であり、人間が作り出した環境に要因があると思いました。だからこそ、刑務所を出所した人に対して距離を取るのではなく、その人たちが社会復帰しやすいように、寄り添った支援、そして愛が何か分かるような支援をすることが重要であると思いました。

編集後記

「更生とは何か」。
受刑者であるドクターKさんの問いが胸に深く響きました。

被害者に謝罪の気持ちを持つことができたなら、更生したと言えるのか。あるいは謝意を表明し、受け入れられたら更生したと言えるのか。二度と犯罪を犯さねば更生したことになるのか。

それらをドクターKさんは「私達加害者の立場からすると、それはやらなければいけない『義務』であり、その当たり前の事をするだけ」だと綴ります。

「更生」とはなんでしょうか。あるいはそれに代わる言葉があるとしたら、どんなものがあり、それはなぜなのでしょうか。

読者の皆さんの声もお聞きしてみたいです。

執筆:黒木萌

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マザーハウスでは活動の一環として、「マリアコーヒー」を販売しております。マザーハウス事務所にて、元受刑者が販売に携わっており、収益金は受刑者の更生・社会復帰支援等に使用いたします。

ルワンダから仕入れたフェアトレードのコーヒーであり、生産地ルワンダの生活や産業の発展にも貢献しています。マリアコーヒーが使用しているルワンダコーヒーは、日本国内のコーヒーシェアにおいて大変貴重な希少種でありながらも、近年の世界中のカッピングコンテストでは上位入賞の常連です。

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