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愛とは清らかであること

The Book of Life
4/17のテーマは
To Love Is to Be Chaste

 J.クリシュナムルティの言葉を、
 一日一ページ 、365日分に編集された本
 「The Book of Life」を 一日分ずつやさしく翻訳し、
 気功的な補足や解説を添えています。

 和訳&補足解説 天野泰司


和訳

性の問題は、単純ではありません。
性のことだけを基準に考えていても、解決できることではないのです。

純粋に生物学的なものとして解決しようとするのも馬鹿げていますし、
宗教的なアプローチも、
身体適性や分泌作用の問題であるかのように解決しようとすることも、
タブーや非難の対象として囲い込んでしまうのも、
どれも全て、あまりにも稚拙で、大人げなく、愚かなことです。

性の問題を解決するには、最も高度な知性が必要です。
「誰かとの関係性の中にある自分」を知ることは、
自然を知ることよりも、はるかに迅速で緻密な知性が要るのです。
でも、私たちは知性を働かせることなく理解しようとします。
すぐ実行し、解決したいと思うので、
問題がいよいよ重大になっていくのです。

愛は、単なる思考ではありません。
思考は、大脳作用が外に現れたものにすぎません。
愛はもっと奥深く、はるかに深遠なものです。

生の深遠さは愛の中にのみ発見されうるもので、
愛がなければ、人生は何の意味もありません。
これが、私たちの存在の嘆かわしい部分です。
私たちは幼稚なまま、年をとっていきます。
体は老い、太り、醜くなっていくのに、思慮のないままなのです。
書物で読んだり、話し合ったりしているのに、
人生の芳香を一度も味わったことがないのです。
ただ読書し、言語化するだけでは、
人生を豊かにする「心の温かさ」が全く欠けているのでしょう。

そして、こうした「愛の本性」が伴わないと
何を行なったとしても、どんな社会に所属しても、
どんな法律をもってしても、
この問題を解決することはできないでしょう。

「愛する」ということは、清らかであることです。
単なる知性は、純潔とは違います。
純潔であろうとする人は、不純なのです。そこに愛がない。
愛をたずさえた人のみが、
清らかで、純粋で、けがれることがないのです。

J.クリシュナムルティ  訳・天野泰司


澄みわたっている心

NPO法人気功協会運営責任者 天野泰司

人間は、生まれてから一年ぐらいは、
自分で立つことも話すことも食べ物をとってくることもできないという、
特別に長い依存期を持った動物です。
その後も、10年以上誰かの保護が必要であることを考えると、
誰かのことを大切に思って、
誰かのために思わず行動してしまうような本性が
もともと人間にそなわっているはずです。
もし仮に、義務であるとか、こうしなければいけないこととして、
あるいは、とても辛くて大変なこととして、子どもを育てなければならないとしたら、とっくの昔に人類は滅んでしまっているでしょう。
人間は愛という本性を他のどの生物にもまして、
はっきり強く持っていることは疑いのない事実で、
それは言い換えると、性の働きが
ずっととぎれなく体の中にあるということでもあります。

お互いのことをずっと愛し合えるのも、憎しみ続けることができるのも、
どちらも性が盛んにあるからです。
だから人間生活の中の、とても幸せに感じることも、
とてもやっかいで大変で不幸に感じることも、
どちらも性が関係しています。
だからこそ性は大切だけれども単純ではない。
人間同士が共に生きていく上で、
様々なやりすぎや挫折、争いや葛藤のほとんどが、
本来の性がつかえて、行き場のなくなったエネルギーが
思わぬところで噴出したり、自己破壊的な方向に向かっていったりした結果でもあるので、本当に性の問題は複雑です。

性に関する誤解や思い込みは、本当にたくさんあり、
また、愛ということに関しても同様です。
でも、どちらにしても私たちの体の中には
愛も性も、とてもとても色濃くあります。

だから無心になって、すーっと心を澄ませていくと、
なんの飾りも汚れもない愛と性がふっと立ち現れてきます。
二人の人間がお互いにどこかでふれ合いながら、無心になった時、
自然とお互いの弱いところをかばいあうような、
あるいは、必要な働きを高め合うような場がそこに生じているものです。

私たちはそのことを「てあて」と呼んでいます。
こどもが怪我をしたら、思わず手をあててかばってしまうように、
こどもが泣いていたら、思わずよしよしと頭をなでているように、
天然の愛の働きが、私たちの中に充満しています。

その天然の愛に、純粋で清らかな性の働きの中に、
すーっと戻っていく。
そこにとても大切なものがあるように思うのです。






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