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基本を忘れずに

「刷り込み」

人間の知識の中で、基礎に関する知識に誤りがあると様々な所で恥をかくことになる。特に漢字など、低学年の漢字で間違った筆順で書く大人は多い。平仮名や片仮名でさえ筆順を間違える。毛筆を中心に文字指導を行ってきた我が国では、今は硬筆指導が主流だ。そして、縦書きから横書きへと、書くことの流れが変化してきた。英語などは、縦に書けない性質を持っている。筆記体など横書き専用で縦書きは無理だ。文字が繋がって行かないからだ。平仮名・片仮名・漢字は縦書きに於いて流れるような美しい線となる。文字自体が縦書きに適しているからだ。それを横書きに移行されてきてから筆順に乱れが生じるようになって来た。幼児の場合、弊社の平仮名練習帳は勿論縦書きを意識している。文字に関する教材は縦書きを基準に作られているのは、こうした日本語の特徴があるからだ。幼児や低学年、一度間違って覚えた筆順や計算は、なかなか直らない。指導する側から(先生・保護者など)間違えをそのままにされてしまい、定着してしまうからだ。今春、小学校に上がるお子さんをお持ちの場合、また、文字を書き始めたお子さんの場合、最初の筆順指導はとても重要だ。特に、平仮名は、漢字の筆順の基礎ともなるので慎重にかつ、繰り返し指導する必要がある。平仮名学習を甘く考えてはいけない。

計算でよく見られるケアレスミスの分析をすると、この刷り込みとも言える「計算の暗記」が目立つ。何度も申し上げるが、この「計算の暗記」は子どもに非はない。ほぼ、指導する側に数指導の専門性が欠如している場合が多い。それは、幼児期から始まっている。これは、中学生になっても直らない。ただ、同じパターンのミスなので、発見した場合は何度も訂正やり直しをさせていくべきだろう。それは、全てに「0」という数字が絡んでいる。子ども達の答案をしっかり確認して頂きたい。「0」が出てくると、半ば無意識に答えを書いてしまう傾向にある。それは、「1÷1=0」という驚きのミスも含んでいる。

今行われている春期講習で中学3年生にこの思い込みによるミスが見つかった。幼児教育や低学年教育を行っている者だからこそ発見できる問題点だと思う。このような子どもの弱点を見過ごすと取り返しのつかない結果を招くことがある。中学生を指導されている方もけして、基礎教育を甘く見てはいけない。中学3年生では、式の展開と因数分解を指導している。途中入室である先の生徒は、XY÷XYを「0」とした。すると、「0」に関する問題全てに間違った概念が備わっていた。こうした、刷り込みによる思い違いは、単純なミスとは違い直すことが難しい。学習に不安を持つ子どもの殆どが陥る問題でもある。本人の強い意志がなければなかなか克服できない。ただ、意志の弱さもこうした問題を抱える子に共通している。きめ細かく、時間を掛けて指導する以外に方法はない。既に十年近く放っておかれたのだから。

だから指導に具体性が必要になる。数・算数の場合タイルがそれだ。また、問題の分析も必要になる。指導は科学だ。知識だけ教えるのは学習指導とは言えない。水道方式を基本に数を指導しているが、水道方式を基本とした指導自体、教育科学と読んでも良いのではと思う。計算体系という分析の中で、退化型と特殊型という分類がある。これは、2桁+2桁・2桁-2桁の複合過程という指導の中で出てくる。ここで、改めて、「0」の計算を確認することになる。複合過程で躓く計算の分析は、どのタイプの型に間違いが集中しているか、そしてその計算は素過程のどのタイプか、こうして子どもの行った計算はそのまま、子どもの状態を把握できる重要なデータと化す。つまり、誤った計算概念は低学年の計算指導で十分修正が可能だ。それには、こうした分析と指導ができる優秀な指導者が必要になる。ケアレスミスは構造的に生まれる事が多い。だから、研修を十分に受けた実践経験を重ねてきた先生に学ぶべきだろう。

2014/4/2


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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