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学校や塾から見放される

「教育新時代」

1970年代、教育界に「落ちこぼれ」という言葉が広がりました。学力優先、詰め込み教育、能力別クラス編成等、点数で人の価値を判断するかのような時代でもありました。「落ちこぼれ」は「落ちこぼし」という言葉に変化していきます。これは、子ども達が学校や塾から見放されたことを意味しています。この世代の人たちがその後10年、20年と立ち、親となりました。親になった時に、新時代の教育に求めたものが「ゆとり教育」でした。この「ゆとり」という言葉も変化し「ゆるみ教育」となりました。

そしてまた、新しい時代の幕が開きました。週休2日制も見直しが進んでいます。文部科学大臣も、民間教育のご出身です。子どもたちは新しい教育方針へと導かれていきます。既に、わが子の将来に不安を感じ始めた保護者は教育新時代に向け対応を始めました。しかし、「ゆとり教育」への変化ではなく、学力中心教育への変化です。この変化に対応しなければならないのは今の小中高生です。緩やかな坂から急な上り坂へと変化します。これは保護者も同様でしょう。落ちこぼれの現象はこの1年でもう表れています。中学1年生に、1学期の数学の復習テストをしてみると、殆どが50点以下です。二極化といわれていますが、そこに学力中心の考え方が入り込んできたので、ゆとり教育でのんびりと過ごしてきた子どもは、そんペースについていけなくなっています。いわゆる「落ちこぼれ」現象です。

指導する側も同じです。変化に対応できない教師も当然いるはずです。子どもを守る立場の保護者は、指導者の二極化も合わせて考えなければならなくなりました。指導力の差は、すぐわが子の成績に比例するからです。学力差は、先生の質、学校の質となって表面化します。学校間の格差、クラス間の格差は更に顕著になります。現代は良かれ悪しかれ個人主義が中心の社会です。それが、二極化という格差になって表れるのです。

個人主義が中心になり、人は、他の考え方を聞くことが減少しました。それ自体が思考力の低下を意味しています。学習も個別が大流行ですが、幼児や小学生ではあまりお勧めできません。この年齢は集団で成長していくからです。人の見かた、考えや、発想から学ぶからです。人数が少ないから良い指導を受けられるいう見方は危険です。年齢によって、指導人数は変わります。幼児教育の専門家が、幼児で個人指導を良しとしないのはその為です。幼児教育によく出てくる「模倣」という言葉があります。子どもたちは、他の子どもを見て学びます。その中には、学習だけでなく、躾・言葉・行動が含まれます。

1年で「落ちこぼれ」を感じられるようになったのは、その前の教育と大きな差があるからでしょう。子どもたちには、早くから学習において「自立」させなければなりません。

2013/3/24


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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