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算数指導

「力の差」

「子どもの学力差は、その子の持っている語彙数に比例する。」このことばが数多くの子ども達の上にのしかかっています。幼児の場合は、まだ言語性に乏しく、3年間かけて母国語の基礎を修得していきます。ことばの習得と共に、聞く事、話す事が出来るようになり、表現力もより豊かになって行きます。この発達に欠かせない能力が言語能力であり、次第に具体性を中心とした思考は、数分野の刺激から抽象思考へと発達していきます。

では、幼児教育では「右脳教育」の重要性を論じたものが多かったのですが、最近、この「右脳教育」についてあまり論じられなくなっています。それは何故でしょうか。それは、子どもの発達、つまり人間の発達段階を考えれば理解できます。キーワードは「思考力」です。思考力の源となるのが「語彙数」つまり「ことば」です。人は、考える時、伝えるとき、話を聞くとき、相手の気持ちを理解するとき、ことばを中心とします。この言語発達が人の成長の指針となっています。お父さんも、お母さんも、我が子のことばの発達について気になった時期があると思います。では、このことばを司る所はどこにあるでしょうか。

一般的に脳科学では言語を司る中心的役割を「左脳」側が担っていると論じています。それは、脳梗塞などを患い左脳に問題が生じた場合の症状を見ると納得がいきます。このことから、学力に比例する語彙の獲得を目指すという考え方に、「右脳教育」中心の指導が次第に影を潜める結果に繋がりました。だからと言って右脳教育を否定するものではありません。しかし、「左脳教育」の成果とも言える言語的発達は、その後の学力というものを考えると、学習の前提条件になることは間違いありません。「聞く」「読む」「書く」という学習要素がもたらす影響は既にご承知の通りです。

では、思考力を支える「左脳教育」に偏って良いのか、それは疑問です。言語の獲得後、子ども達は、経験や様々な事象を通して新たなことばを獲得していきます。そして、数学習に於いて抽象思考と論理的思考が可能となっていきます。近代教育は公式的、論理的、そして知的な性格を持っています。この過程で重要視されなければならないのが「感性」と「感覚」です。感性とは主に「右脳」を中心とした働きを意味しています。この感性と言語が合わさり「心」を形成していきます。プリンスジュニアが幼児教育に於いて矜恃を抱いた指導が「人間教育」であり「心の教育」です。「右脳教育」では限界があったと先生方は仰います。偏った教育は、偏った人間を形成させます。「右脳」「左脳」のバランスのとれた教育が、心の安定も生み、学力という学ぶ力を形成していきます。

学力に差はつきものです。しかし、幼児期から小学校低学年のシングルエイジこそ人間形成の土台を築くとき、保護者にも教育に対するバランス感覚と、本質を見抜く力が要求されるのではないでしょうか。学力差が顕著に現れるのが算数という教科です。それは、高学年になり次第に歴然とした差となって現れます。何故なら思考力が要求されるからです。具体的思考、抽象的思考が相まって、複雑な問題を解き明かしていきます。これらを支えるのが「言語能力」です。そして、プリンスジュニアの教育を代表する指導が「タイル指導」です。

  • 心象練習=「イメージトレーニング」

  • 身体練習=「フィジカルトレーニング」

この2つの学習が、幼児・小学生の数学習を大きく変える事になりました。左脳・右脳だけでなく、指先や手先の神経を意識し、幼児教育の代表格でもある「巧緻性」を盛り込んだ感覚教育はこれからの教育の主流となっていくでしょう。より確かな「記憶力」育成も、これらの教育が総合的に働き、大きな成果を上げ始めています。地味な教育活動の中に秘められた数多くの指導理論と、先を見据えた教育のあり方を追求するチャレンジ精神が教育的ビジョンとなり、今、花を咲かせようとしています。

2013/2/7


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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