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EQ「心の教育」

「選ばれた命!」

「心の教育」に欠かせないものがあります。子ども達が学習を積み重ねていく中で、最も大切に扱うべきもう一つの学習内容です。それが「命」の学習です。子ども達は、幼い時から生命の尊厳を、命の大切さを、心の発達と共に知り学ぶ必要があります。また、特にお母さんになる女性にとっても大切な学習です。私は、今年、久しぶりに「胎教」講座をさせて頂きました。命を育み、生まれてくる小さな命を皆で待ちわびるのです。短絡的にただ賢い子を育てるのが「胎教」ではありません。まだ言葉の通じない赤ちゃんに、お母さんの愛情が十分伝わる為の学習と言えるかも知れません。まさしく、愛おしい命を産み育てる、その準備を行うのです。

私達の命は選ばれた命です。女性の卵子の数は、誕生時200万個もあります。排卵の数で見ると、全体のおよそ0.022%にあたる440個です。それに対して男性の一生涯に作る精子の数は1兆以上になると言われています。改めて生命誕生の確率を計算する必要はないかも知れませんが、ご夫婦が生涯で1人の子どもを授かった場合、選択された卵子の確率は0.00005%です。更に選択された精子の数は1兆分の1となります。すると一人の命が生まれる確率は…。言葉では言い尽くせない、数字で示す命の重さ、尊さです。

社会は、悲しいかな物の使い捨てから、人の使い捨てへと大きく変化し始めているように思います。「人をコスト扱いするな!」といったある会社の社長の言葉が印象的です。海外でも、小規模の戦争で数多くの人々が命を落としています。人一人の存在や、命に対し軽く受けとめ始めている昨今、人々の心が麻痺しないよう、改めて、「命」についてしっかりと教育すべき時代に来たと私は思っています。我が国では、死に急ぎ自ら命を落とす方々が年間3万人を超えています。そして、我が子を死に追いやる保護者の数も目立ち始めました。一方で、病に冒され、それでも必死に生きようとされている方々がいます。長寿国である我が国が、教育に付け加えるべき学習として「心の教育」と「命の教育」の必要性を感じています。

「君たちは選ばれた人なのだ」子どもは、こうして世の中に生を受けます。生を受けた子ども達は、精一杯生きて行かなければなりません。一生懸命に生きて行くと、学ぶ事の必然性も理解してきます。私達は、祖先の恩恵を受けて毎日を暮らしています。身の回りにある物のほぼ全てが、自分以外の人の手によるものです。人が学び、その末に作り出したものが、機械であり、薬です。すると、自然と「学ぶ事は人の為」という考え方が見えてきます。自分の気付かなかった事を他人がしてくれているのです。だから人は感謝するのです。他人がしてくれた事に対し、自分の情けなさを詫び、感じる事で次の自分を見つける事が出来ます。そこに感謝ということばが生まれます。感謝と言う言葉は、自分を省みるときに使われるとても重い意味のある言葉なのです。

「EQ」を語るなら、やはり「命」について語る必要があるでしょう。この事をないがしろにして「心の教育」は語れないはずです。近代科学が示した数字による命の重みだけでなく、私達は実感として「命」を感じ取らなければなりません。

子どもは、この世に生を受けてから直ぐに学習を始めます。どの動物も生きるために学びます。すると、幼児教育はけしてまだ速いとは言えなくなるでしょう。赤ちゃんは生きるために言葉を習得します。これは、むしろ必然であり、当たり前の学習と言えます。心が育つ幼児期に、動植物を通して命を実感する、今後、体験体感教育や、感覚教育も指導の重要な柱となっていくでしょう。

子ども達の成長発達には、様々な教育機関や人々が関わります。このブログをお読み頂いている「かん」さんから、「子どもに欠かせないのは大人との関わり 親、学校の先生、祖父母(お年寄り)塾の先生、スイミングの先生、空手の先生など いろんな大人から吸収できることがあるはずです。それを系統的につなぎ合わせることができたらといつも考えています。」というコメントをお寄せ頂きました。人の営みは、人を介して行われていきます。一つの命が、様々な命によって支えられている。命について、大人はもっと熱く語るべきです。

2012/10/10


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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